水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (5)続く

2021年12月11日 00時00分00秒 | #小説

 番組なんかでもそうだが、続くで途切れれば、あとはどうなるんだ? と、どこか妙に明るい次回の期待が膨(ふく)らむものだ。その逆にそれで番組が終わるとなれば、終わりかと、虚(むな)しく暗い気分に苛(さいな)まれることになる。続くのは孰(いず)れにしろ、いいということになる。命だって長く続いた方がいいし、会社だって経営組織としてズゥ~~っと続く方がいいに決まっている。
 とある銀行である。
「おいっ! うちの会社、○○に吸収されるそうだぜっ!」
「○○っていえば、○○ホールディングス傘下のっ!?」
「そうっ!!」
「まあ終わらなけれゃ、どうなったっていいじゃないかっ! 俺達の仕事は変わらねぇ~んだろっ!?」
「ああ、まあな。経営方針は変わるだろうが」
「なら、いいさ。続くならなっ! チィーンで終わりゃ、ハローワークってことになる。五十出たこの年で、俺は嫌だねっ!」
「俺だっていやだよっ!」
「どうして、そうなったんだっ!?」
「いや、俺にもよく分からんが、去年、儲(もう)け過ぎたからじゃねぇ~のっ!?」
「儲け過ぎて、なぜ吸収されんだっ!?」
「反動さ、反動ってやつさっ!!」
「反動?」
「ああ。儲かるのもいいが、反動はなっ!? 組織は鳴かず飛ばず+α(アルファ)でズゥ~~っと中長期的に安定して続く方が大事・・ってことさっ!」
「うちの会社はっ!?」
「まあ、終わる訳じゃねぇ~から、最悪の事態ではない・・ってとこだなっ!」
「続くのは大事なんだなっ!」
「だなっ!」
 続くのは、終わりがないから明るく、元旦のようにおめでたいということになる。♪終ぉ~わりなき世の めでたさをぉ~♪ということのようだ。^^

                  完


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