水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (11)採点

2021年06月01日 00時00分00秒 | #小説

 学生諸君ならよくご存知だろうが、採点にも甘口(あまくち)、辛口(からくち)の差が生じる。一人の先生では58点だった科目が、別の先生だと62点で通過して単位を修得できたなどということも生じる訳だ。^^ 58点では再履修しなければならず、そんな事態は何がなんでも避けねばならないから、先生をコンパに招待なんかしたりして単位を修得した・・などという話も現実に存在する訳である。遠い過去を振り返れば、私も人ごととは、とても思えない。^^
 とある中学校の国語の時間である。先だって抜き打ちで行われたテストの答案が返されている。
「先生っ! 3番の問題ですが、僕と酢蛸(すだこ)君の答は同じなのに僕は×で酢蛸君は〇なのはなぜですかっ!」
「それはだなっ! まっ! そういうことだっ!  ははは…」
「先生は僕には辛く、酢蛸君には甘いんですねっ!」
「ははは…そんなことはないぞっ! お前の書いた漢字が間違っていたからだっ! これも、お前のためだぞっ!」
「僕のためですか、先生? そこは甘く、半分正解の△くらいで…」
「いやいや、先生は辛くいくっ! 悪く思うなっ、烏賊墨(いかすみ)っ!」
 烏賊墨は、先生にパスタでも食べさせないとダメか…と、ふと思った。
 採点も要領で変化するのである。学生諸君、参考にして下さい。^^


                   完


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 甘辛(あまから)ユーモア短... | トップ | 甘辛(あまから)ユーモア短... »
最新の画像もっと見る

#小説」カテゴリの最新記事