水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

思いようユーモア短編集 (80)閃(ひらめ)き

2021年01月20日 00時00分00秒 | #小説
 皆さんは、オッ! それがいいな(わ)っ! と、急に閃(ひらめ)かれたことはないでしょうか? ^^ 私は時折り、そんなことがあります。ただ、いつも閃かないのが玉に瑕(きず)ではありますが…[謙遜(けんそん)! ^^]。
 冗談はさておき、この閃きは、思ってもみないときにフッ! と湧(わ)くものである。湧いた閃きは、いい閃きもあるが、時には悪い閃きもある。それが人だ、と言ってしまえばそれまでだが、悪い邪(よこしま)な閃きは余りいいとは言えないだろう。人はそれを魔が刺した・・と表現する。まあ、それも程度ものなのだが…。^^
 とある小学校で職員会議が開かれている。
「教頭! こんなクソ暑いのに、やるんですかっ!?」
「苔石(こけいし)先生!  なにもやる! とは言ってないでしょ! そういう選択肢もある、と言ったまでですっ!」
「ということは、春でもいいということですよねっ!」
「ええ、まあ…。最近は多くの学校が春にやってますからね…」
「春といったって、結構、大変ですよ。組み変えで、やっと生徒が馴染(なじ)んできたとこですから…」
「庭木(にわき)先生、いいこと言ってくれましたっ! そのとおりっ! 春も大変ですよっ! 苔石先生!」
 そのとき急に、黙って聞いていた教師、池水(いけみず)に閃きが起きた。
「教頭! こんなの、どうでしょ?」
「どんなの、ですっ!?」
「チェンジするんですよっ!」
「チェンジ!? なんです、それは?」
「チェンジですよ、チェンジっ!! ほらっ! いつやら、アメリカの大統領が言ってた!」
「ああ! あのチェンジですか。ははは…古いですね、あなたもっ!」
「古くったっていいんですっ!」
「もう少し、具体的にお願いしますっ!」
「だから、9月の運動会と11月の文化祭をチェンジするんですよっ! チェンジっ!」
「あっ! なるほどっ!」
 そのとき急に、黙って聞いていた別の教師、蛙(かわず)に閃きが起きた。
「教頭! 運動会を10月にひと月、遅らせりゃ、それでいいんじゃないでしょうかっ!」
 蛙の意見に全員、なるほど! と思ったのか異論は出ず、運動会は10月中旬開催でスゥ~~っと決着した。
 ものは思いようで、閃きは案外、単純な方がいいようだ。^^
 
                      

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