水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スピン・オフ小説 あんたはすごい! (第二百十八回)

2011年01月30日 00時00分01秒 | #小説
 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第ニ百十八
 事件? と、ふと疑問を抱かれた方も多いと思う。というのも、小菅(こすが)総理の乗った車が事故を起こしたのは、あくまでも事故であり、事件となれば犯人とかが加害者として登場し、俄(にわ)かに、きな臭くなるからだった。私が事件と云ったのには、実はかなり深刻な事情が隠されていた。私がそのことを知ったのは、やはり、お告げによってである。
『いえね…。小菅さんの車があの事故を起こしていなければ、小菅総理は到着したホテル前で暴漢に襲われてお亡くなりになっていたのですよ。当然、塩山さんの米粉プロジェクトも終焉(しゅうえん)を迎えていたでしょう。プロジェクトは小菅さんが計画立案されたものですからね。ただ、お亡くなりになった運転手の方には、お気の毒な結果になりましたが…。すべては大玉様のご意意志です』
 事故があって十日後、私は、このお告げを久しぶりに帰省した自宅で聞いていた。
「これから、みかんへ行こうかな…と思っていたところです。よかったら、対面して話しますか? ただ、ママや早希ちゃんが妙な顔をするでしょうから、あくまでも心での会話ですが…」
『ええ、そちらの方が、いいでしょう。ブツブツと、ひとりごとをお云いになれば、誰だって変人扱いをしますからねえ』
 玉のお告げどおり、玉からのお告げは心の声だから他の者には聞こえないが、私が玉に対して返答したり訊(たず)ねたりするときは、心の声で話す場合と直接、口で呟(つぶや)く場合とがあった。

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