東京郊外は桜が満開で、春の陽気につつまれて折、
私は散策がてら墓参りをしょうと、思い立ったのである。
主庭、玄関庭にある3種類の水仙を家内に切って貰い、
50本前後の水仙と線香を持ち、私は独りで歩いた・・。
我家からは20分程度の道程(みちのり)であるが、
大通りの歩道からは桜の満開の花が数多く観られ、周囲を彩(いろど)っていた。
山門の近くにある桜の古木が咲き、
わずかばかり寄進した山門を見上げた後、本堂への石畳を歩き、
鐘楼門を通り抜けて、境内を抜けた。
実家の墓石を水で清めた後、花をささげ、
線香に火を点じたのである。
紫煙がゆっくりと舞い上がり、空にとけてゆく・・。
周囲を見わたすと、桜があちらこちら咲いて、
大きな欅(けやき)が萌黄色の芽吹きとなっていた。
私は墓参りに関しては、
生者が死者に対しての慰めと思っているが、
こうして齢を重ねた私でも無事に生きていられるのは、
両親、祖父たちのお陰であると思っているので、
感謝の意味で墓石に向かい、両手を合わしているのである。
墓地から境内へは、春の息吹きを教示させてくれる数多くの樹木があるが、
余り陽のあたらない所で藪椿(ヤブツバキ)が咲いていた。
濃紅色の色合いであったが、10数輪ばかり咲き、
周囲の黒土に数多くの花びらが散乱していた。
私は思わず立ち止まり、このような形でこれからの歳月を過ごせたならば、
残された人生思い残すことはないと私は思いながら、
山門を後にし、駅前に向かい歩き出した。
私は散策がてら墓参りをしょうと、思い立ったのである。
主庭、玄関庭にある3種類の水仙を家内に切って貰い、
50本前後の水仙と線香を持ち、私は独りで歩いた・・。
我家からは20分程度の道程(みちのり)であるが、
大通りの歩道からは桜の満開の花が数多く観られ、周囲を彩(いろど)っていた。
山門の近くにある桜の古木が咲き、
わずかばかり寄進した山門を見上げた後、本堂への石畳を歩き、
鐘楼門を通り抜けて、境内を抜けた。
実家の墓石を水で清めた後、花をささげ、
線香に火を点じたのである。
紫煙がゆっくりと舞い上がり、空にとけてゆく・・。
周囲を見わたすと、桜があちらこちら咲いて、
大きな欅(けやき)が萌黄色の芽吹きとなっていた。
私は墓参りに関しては、
生者が死者に対しての慰めと思っているが、
こうして齢を重ねた私でも無事に生きていられるのは、
両親、祖父たちのお陰であると思っているので、
感謝の意味で墓石に向かい、両手を合わしているのである。
墓地から境内へは、春の息吹きを教示させてくれる数多くの樹木があるが、
余り陽のあたらない所で藪椿(ヤブツバキ)が咲いていた。
濃紅色の色合いであったが、10数輪ばかり咲き、
周囲の黒土に数多くの花びらが散乱していた。
私は思わず立ち止まり、このような形でこれからの歳月を過ごせたならば、
残された人生思い残すことはないと私は思いながら、
山門を後にし、駅前に向かい歩き出した。