ウィトラのつぶやき

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日本人はルール作りに弱い

2014-04-03 10:02:12 | 社会

少し前になるがオリンピックの時に、ルールがたびたび改正されて、日本人はついていけない面がある、という指摘がたびたび流れていた。しかし、日本人がルール作りに積極的に取り組もうという人は殆どおらず、改正されたルールにどう対応するか、ということばかりが言われていたように思う。私が長年出席していた国際標準化の会議でも日本人は「ルールをこうしよう」ということは殆どなく、「ルールはこうなっている」という意見が圧倒的だったように思う。日本人の中にはルールを自分で決めようという文化が少ないと思う。これは日本人に限らずアジア全般の傾向のように思うが、中国や韓国はルールで自分が不利になると強く反発する。そこから次第にルール作りへの文化が出てくるので、アジアの中でも日本人はルール作りには弱いように思う。

これはこれからのグローバル社会を生き抜くうえで大きな問題であると思う。世界の連携は密になればなるほど、国をまたぐルールは重要になる。私のやっている標準化はある意味でルール作りなのだが技術をベースとしたルールなのでまだやりやすい。TPPのような人の利害を調整するルール作りはさらに難しいし、影響も大きい。

企業の中でもルールはたくさんある。特にIT関連でセキュリティに関するルールは多く、複雑で殆どの人が自社のルールに不満を持っている。それにも拘らずルール変更を提案する人は極めてまれで、不祥事が起こった時に責任を取らされる管理部門が一方的に決めているのが殆どである。多少不満はあってもルール作りに自分のエネルギーを使うよりはルールに従って実のある仕事をしたいと皆が思うからだろうと思う。言い換えればルールを作ってもあまり評価されない文化があるということだろう。

これからの国際企業はルール作りに強い人をもっと育成すべきであると思う。これは法律を勉強させるとかいうことは違うと思う。企業内でルールをもっと議論する文化を作ることが必要だと思う。残業のルールでも出張のルールでも、部門間の仕事の貸し借りのルールでも不満を吸い上げる場を作って、不満が一定量以上に高まったら真面目に検討するというような仕組みを作ることが必要なのではないだろうか。

3月13日の「何が難しいかが時代とともに変わる」でも「人の扱い」は昔から難しく、今後技術が進んでもやさしくならない項目だと書いたが、ルール作りはまさに今後も難しい問題であり続ける範疇である。ルール作りの議論はこじれると人間関係に傷のつく課題だが、グローバル化の時代に向けて避けて通れない課題であり、積極的に取り組むべきだと思う。



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