オリンパスが巨額の損失隠しをしていたと言って連日報じられている。マスコミは連日のようにオリンパスたたきをやっているし、株価も急落している。今後オリンパスが上場廃止になるかどうか、どうも上場廃止にはならない見通しのようだがどこかに買収されることはあってもおかしくないと思う。
これで日本の会社の信用が下がるなどと言っている人がいるが、そういう意味では問題はオリンパス自体よりも監査法人にあると私は思っている。もちろんオリンパスは悪いのだが、様々な理由で企業が粉飾決算をすることは世界的にある。それで監査という仕組みができているのだがこれが機能していないという点が日本企業の体質としては最大の問題だろう。
バブル時代の損失を隠し続け、今に至ったというのはいかにも日本的である。まだはっきりとはわからないが私利私欲のためにこのような損失隠しを行ったのではなく、会社のために損失隠しを行ったように感じられる点も日本的である。しかし今日取り上げたいのはこれらの点ではなく、解任されたイギリス人の社長が当時の副社長に「あなたの上司は誰か?」と聞いたときに「会長だ」と答えたという点である。CEOである社長の意向を無視して会長の指示で動く、それも大部分の役員がそういう動き方をする、この名目上の役割と実質的な役割の乖離をおかしいと思わない点に日本的体質を感じる。
同様の印象を今報じられている野球の巨人軍の人事問題にも見る。渡辺会長はどういう権限でジャイアンツの人事に介入しているのか、この点を誰も問わない。名目上の役割と実態とが乖離している。その状態をおかしいと思わない、あるいはおかしいと思っても言い出せないところが極めて日本的だと思う。一代で会社を築き上げた創業社長が元気な場合にこういうことはよくあるが、オリンパスの場合には会長は創業者ではなく、いわゆる優秀な社員がのし上がって行ったものである。それで周囲が社長を無視するほどの権力者になれるということは、日本では比較的簡単に独裁政権を作れるということだろう。
この点は日本の民主主義の弱さとつながっているような気がして、私にとっては一番気がかりなところである。
今回の場合、商品・サービスの購入者であるユーザ、一般の株主は、一連の騒動で関わっていないので、「いい迷惑」なのですが、資本主義、上場による資金集めを通じて、株式会社に資本参加する以上は、やむを得ないリスクと思います。
責められるのは取締役、監査法人等の実行部隊と、それを容認した(若しくは見過ごした)人たちです。
現行法の中でも、厳罰を科することで、一定の再発防止効果にはなると思います。
勿論、法的な規制の強化は或る程度行われるとしても、手間だけがかかって、実効が伴わないようなかつてのJ-SOX法のようにならないことを望みます。
物事の本質は、それ程単純でないと知りつつも、世論はそれに流される。 経営者、会計士の良心が問われているが、会計士は交代しており、仕組みを作ったのは証券会社。 巨額の消却に疑問を持たないファンドや、大口株主が本当に被害者と云えるのか疑問に思う。