ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

ヨーロッパ経済の不安

2011-04-08 08:07:50 | 経済

地震報道の陰に隠れているがヨーロッパ経済にも不安定な動きが見えている。

4月6日、ポルトガル政府はEUに約9兆円の金融支援を要請すると発表して交渉に入った。ヨーロッパではGIIPS(ギリシャ、イタリア、アイルランド、ポルトガル、スペイン)の財政状態が悪いと以前から指摘されている。このうちギリシャとアイルランドは既に金融支援を要請しており、今度はポルトガルである。スペインも危ないと言われている。イタリアは他の国よりは深刻ではないようだがリビアとの経済的結びつきが大きく、カダフィー戦争の行方によっては深刻な事態になる。

このような事態でありながら、欧州中央銀行は金利の引き上げを決定している。これは原油をはじめとして物価の値上がりが顕著になってきたからである。

一方で経済破綻になりそうな国があるのに、物価は上がる。私はこれは各国政府が率先して行った金融緩和策で供給したマネーが苦しいところよりもむしろ富裕層に回り投機資金に流れた結果だと思っている。

この中で特に難しいかじ取りを迫られるのはドイツである。ドイツはEU圏内ではずば抜けて健全な貿易収支を誇り、他の国は皆ドイツが状態の悪い国を救済することを期待しているし、それ以外の方法は多分非常に難しいだろう。一方でドイツ国民にとってみれば自分たちの税金がよその国民のために使われることに対する反発は強い。メルケル首相の人気は下がっている。

福島原発の問題が出た時にメルケル首相はいち早くドイツ国内の原発の停止を宣言した。それにもかかわらず先日のドイツの地方選挙では緑の党が大躍進した。緑の党がどのような経済政策を唱えているかは知らないが、アメリカのティーパーティ、イギリスの自由民主党など世界各国で新興政党の躍進が目立ち、ここ数10年続いてきた政治の枠組みが変わりつつある感じがする。

イギリスはユーロを使っていないので、独自の経済政策を行うことができ、財政引き締めに走っている。アイルランドは支援を受ける以上、法人税率を他国並みに上げるべきだと言われているが抵抗している。ドイツもユーロから抜けるべきだという人もいる。

こうした難しい状況の中でメルケル首相は良くやっていると思う。これが日本の首相のようなレベルならとても維持できず、ドイツ、あるいはヨーロッパ全体がおかしくなっているように思う。ちなみに、私の意見は苦しくてもドイツはポルトガルを支援すべきで、国民を納得させるためにポルトガルにどういう条件をつけるかが課題だと思っている。実際そうやっていると思うが・・

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿