ウィトラのつぶやき

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目標は年間1億台&国内シェア1位 - NECカシオモバイルが経営戦略を発表

2010-05-26 09:21:42 | 経済

6月1日に正式に発足予定のNECとカシオ・日立の携帯電話部門が統合したNECカシオモバイルに関するマイコミジャーナルに出た記事のタイトルである。私にとっても知人の多い組織であり、うまくいってほしいという気持ちが強く、興味を持って読んだ。

率直な感想は「ずいぶん大きく出たな」という感じである。2010年度の出荷計画は750万台とあるが、世界でいうとNokia、Samsung、LGの3強に続く4番手クループのSony-Ericsson、RIM、Apple、ZTE、Motorolaが2010年1Qで1千万台から800万台の出荷なので、これらの会社の1/4弱の出荷量である。その会社がはたしてこれら競合の仲間入りをしてのし上がっていけるのだろうか?

会社統合によってブランド数が増えるわけだがマルチブランドを継続していくということなので売り上げ台数の割に機種数が多く、開発費負担の大きな会社になるだろう。その分一台当たり高く売らないといけないのだが、その高く売る付加価値の部分をどこに求めようとしているのかが見えない。

親会社もそれほど金持ちの会社ではないので大きな先行投資はできないだろう。そういう中で年間1億台の目標に対する道筋が果たして見えているのだろうか?

今、携帯電話市場は大きくスマートフォンにシフトしている。現在この会社が出荷しているような価格と機能のセグメントは縮小していき、スマートフォンと低価格帯に2極分化していくと私は思っている。どうも両方やるつもりらしいが、現在出遅れている状態でどうやってキャッチアップして存在感を示すかがまずは問題だろう。

売り上げ目標を大きく掲げてそこに邁進するのはシャープの液晶事業のように事業の強みを持っていて、市場が成長するときに、投資と回収のバランスを明示して意欲を内外に示す時に有効な手法だと思う。現在のこの会社は定量的な目標を示すよりもむしろ、定性的なシナリオの確立を目指すべきだと思う。

現在のNECカシオモバイルでは、社員の士気を高める効果はあるかもしれないが、数字を言ってしまうと責任が生じる。鳩山総理のように自分の過去の発言を追及されて身動きが取れなくなることを私はむしろ危惧している。


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