ウィトラのつぶやき

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すっきりしない日本経済の先行き

2013-09-19 16:18:50 | 経済

アメリカのFOMCが量的金融緩和の継続を決定し、日本でも株価が上がっている。アメリカが資金供給を増やすというのでドル安になっているがドル安でも日本株がしっかり上がったというのは何年ぶりという感じではないかと思っている。ここまでずっとドル安なら株価は下がり、円安なら株価は上がるという状態が続いていたのにドル安でも株価が上がるというのは、日本企業への信任が高まってきたということだろうか。

5月末から日本株は弱含みで、成長戦略が評価されていないなどと言われてきたのだが、東京オリンピックが決まって株価がしっかりしてきた印象が強い。しかし、私にとってはどうもピンとこない。この株価の値上がりは気分の問題で本物では無いのではないかという思いを持ってしまう。自分の居る情報通信の分野で言うと今の経済を引っ張るキーワードは通信の分野ではスマートフォン、コンピュータの分野ではクラウドである。そのどちらも日本企業の先行きに明るさが見えないのである。

最近発表された新型iPhoneの話しを見ても明らかなように、日本の大手オペレータ全てがiPhoneを扱うようになった。日本の端末メーカが市場をかなり奪われるのは間違いないだろう。基地局のようなインフラベンダは直接的な影響は受けないかもしれないが、いわゆるガラパゴスと言われていた日本特殊仕様は減って世界と合わせて行く可能性は高いだろう。インフラベンダも長い目で見ると端末のようになっていくのではないかという気がする。

ドコモやKDDI、ソフトバンクと言ったオペレータは内需型産業なので当分は安泰だろうが世界的に見ると効率は悪いのではないかと思っている。アメリカでは最近は基地局のための鉄塔の所有者はオペレータではなく、独立した事業者でオペレータはそこから鉄塔を借りているらしい。そうなる理由はオペレータが独自に鉄塔を立てるよりも同じ鉄塔を複数のオペレータが利用するほうが経済的合理性が高いからだろう。イギリスのボダフォンも70%基地局は他社と鉄塔をシェアしていると聞く。しかし日本ではこういう話しを聞いたことがない。

コンピュータの分野のクラウドはハードウェアを売っていたコンピュータベンダがソルーションビジネスに転換し、その次のステップがクラウド化だと認識している。しかし日本企業はクラウド化では明らかに出遅れていると思う。この分野ではアメリカが先行しているが日米の差は今でも広がり続けているという印象を持っている。自動車や化学、機械、素材などでは違うのかもしれないがどうも日本の将来に明るさが見えないのである。

株価は目先のイベントで揺れ動くが長期的には将来性を見て動くはずである。その将来性がはっきりしないのに日本の株価が上がってくるとなんだか不安になってくる。


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