ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

毎月勤労統計の間違い、「故意でない」とは思えない

2019-01-23 10:23:17 | 社会

厚生労働省の毎月勤労統計に誤りがあったとして大きな問題になっている。そのこと自体が大きな問題なのだが、最近、調査委員会が調査して「故意ではなかった」と報告している。私はむしろこちらに大きな問題を感じている。

正確なところは分からないが報じられているところによると、東京都の企業のデータを東京都の分を1/3しか調査していなかったということであるが、他の地域が全数調査していて東京だけが1/3の調査ならば当然東京の重みを3倍にして全国平均を出すべきである。それを同じ重みで平均していたというのがこれまでの手法だったのだろうと想像している。調査していなかったのなら、本来は実態からどれだけずれていたかは分からないはずであるが、概算のずれは分かっていて政府は「予算を組み替える」と言っているので多分この解釈で会っているだろう。

問題は「ミスでこんな間違いをするだろうか?」ということである。一部を抜き取ったらその分補正をかけるのが常識であり、これを気付かずにそのまま加えるというようなことがあるはずがない、というのが世間の常識だろう。東京都からは全数調査の数字が上がっていたのに、厚労省で統計とする時に東京だけ1/3にしたようにも読める(2012年以降)。そうだとするとますます「故意」は明確である。

これを調査委員会はいったいどう解釈して「故意ではなかった」と報告したのか、調査委員会の体質に問題があるのではないか、と思ってしまう。最近は不祥事か発生すると第3者による調査委員会を設定して調査を行うのが普通のやり方になっているが、この調査委員会が信頼できないとなると、政府の対応全体が「信用できない」ことになってしまう。今回の厚生労働省の問題に対する調査委員会の報告は調査委員会の信用を疑わせるものであり、政府も問題解決手法全体に暗い影を投げるものだと感じている。


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2 コメント

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明けましておめでとうございます (UCS-301)
2019-01-23 17:54:27
新年、明けましておめでとうございます(遅ればせながらですが…)。

特別監察委員会をかばうわけではありませんが「故意」を立証することは自白以外にありえないため難しいと考えます。さらにいうと「故意でない」と結論付けられた組織は、誰も全体を分かっていないのと同値です。今回の特別監察委員会は厚労省内部で調査をさせるよりは良いように思います(利害関係者もいらっしゃるかも知れませんが…)。

一般的に、こういったケースでは「故意」の人と「故意ではない」人は複合的に絡んでいるように思います。まず「故意でない」人は全体のシステムを理解しておらず、(良い悪いは別にして)言われたことだけをこなしているため仕方が無いかと思います。全員がこれだと組織として大変不味いことになります。次に「故意」な人の中には「故意」なのに「故意でない」と発言する人も含まれますが、そこまでの"大物"は少ないのではないでしょうか。おそらく「故意」な人は「故意でない」人に発言させると思いますので…。個人的には「未必の故意」の可能性が高いと感じます。つまりシステム全体を理解していているにも関わらず、おかしいと分かっていてもあえて訂正させなかったというケースです。この場合「気付かなかった」という逃げ道が残されます。特別監察委員会の「故意でない」という意味は、「組織的・計画的にある意図を持ってわざとこの結果に導いたということは立証できなかった」程度の意味合いではないでしょうか(元裁判官の方もいらっしゃるので、なおさらかと思います)。

マスコミとしては「組織的隠蔽」の脚本の方が面白い(売れる)ためその方向に煽っているように思います。よって、特別監察委員会の出した「故意でない」という結論が面白くないため、今度は特別監査委員会を叩いているように見えます。私自身は、統計システムの煩雑さや頻繁な組織の入れ替わりなどを考慮すれば、単なるチョンボが元凶だろうと考えます。その後に分かっていて見知らぬ振りを決め込んでた人がいたとしても、自白が無ければそれまでです。産経新聞によれば『監察委の委員の一人は「組織的な隠蔽は一定の権限がある人の指示があるもの」と説明した上で、「真っ白とはいえないが、意図があると認定するには無理がある」と話した。』と報じています。

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※ 私は世間での一般的な第三者委員会の方により否定的です。たいていの場合、第三者ではなく利害関係者(控えめに言っても思想の似通っている人々から選出)によって構成されているためです。おカネで繋がっていればなおさらです(特に弁護士の方々)。

※ 特別監察委員会によると東京だけ1/3にしたことには意味があり、他道府県とは産業構造が異なり全数調査にする必要性がなかった(1/3で十分)ということだったようです。他道府県との比較時点で3倍になっていないことがチョンボだと思います。そして都道府県ごとに担当者も別だったのではないでしょうか(つまり取りまとめ時点でのチョンボ)。
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故意か そうではないのか? (世田谷の一隅)
2019-01-24 12:55:58
今回の場合は、故意かどうかは別としても
どこかの段階で、他府県とは異なる、もしくは法に
規定された方法ではないと認識はしていた人達が
いる筈です。

当人(達)だけが知っていて、そのままほおかむり
したのか、それともどの上位レベルまで報告が
上がっていたのかです。

誤りであると認識して、その後も放置していたとなれば
その誤りから派生する問題を知っていながら放置したとして、あるいみでの「未必の故意」が成立するように思えます。

言い訳や程度の差はあるとしても「故意」と判断される
中身です。第三者委員会を設置しようがするまいが、
その委員の選任をどのような形で進めるかどうか付随的な問題で、肝心の当事者たちが「まずかった」と
認識しているかどうかです。

本人たちがまずかったと認識していれば、それを再発させない工夫をどうするかであり、言い逃れが通用してしまえば、お咎めがなければ、繰り返し起こることになります。

官民を問わず、この種の問題が起きた時に執る方法にあまり変わりはないと思います。わたくしは厳罰を
適用して一罰百戒が効果的と思います。

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