真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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 731部隊調査報告書:ヒル・レポート(総論)抜粋

2008年05月15日 | 国際・政治

 下記は、アメリカによる731部隊関係者の尋問を基にした調査報告書であり、中国戦犯管理所における関係者の自筆供述書やハバロフスク裁判公判書類などとともに、731部隊および日本軍の細菌戦に関する重要文書の一つである。「論争731部隊」松村高夫編(晩聲社)よりその一部を抜粋する。
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               ヒル・レポート(「総論」)
                                     APO 500
                                     1947年12月12日
件名:細菌戦調査に関する概要報告
宛先:オルデン・C・ウェイト
   化学戦部隊主任
   国防総省、25、 ワシントンD.C.

1 前文
 文書命令AGAOーC200.4(47年10月15日)(A表)に依り、エドウィン・V・ヒル博士(DrEdwinV.Hill)とジョーゼフ・ヴィクター博士(Dr.JosephVictor)が、日本の東京に1947年10月28日に到着した。調査は下記の要領で実施された。極東軍総司令部GⅡ副参謀長チャールズ・A・ウィロビー(CharlesA Willourghby)准将の全面的協力により、我々はGⅡの全ての施設を利用でき、任務は大いに促進された。尋問した人たちから得られた情報は任意によるものであることは特筆すべきである。尋問のあいだ戦争犯罪の訴追免責を保証することについては、全く質問がだされなかった。

2 目的
 A 細菌戦に関し日本側要員から提出された諸報告書を明確にするのに必要な追加情報を得るため
 B 細菌戦諸研究施設から日本に移送された人間の病理標本を調査するため
 C その病理標本の意義を理解するのに必要な説明文書を得るため

3 方法
 A 細菌戦に関してハルビンまたは日本で研究した以下の人たちを尋問した。
  主題      尋問した医師           (表名が示されているが省略)
  エアゾール  高橋正彦 金子順一
  炭疽      太田 澄
  ボツリヌス   石井四郎
  ブルセラ    石井四郎 山之内裕次郎 岡本耕造 早川清 
  コレラ      石川太刀雄 岡本耕造
  毒ガス除毒  津山義文
  赤痢      上田正明 増田知貞 小島三郎 細谷省吾 田部井和
  フグ毒     増田知貞
  ガス壊疽    石井四郎
  馬鼻疽      石井四郎 石川太刀雄
  インフルエンザ 石井四郎
  髄膜炎      石井四郎 石川太刀雄
  粘素       上田正明 内野仙治
  ペスト      石井四郎 石川太刀雄 高橋正彦 岡本耕造
  直物の病気   矢木沢行正
  サルモネラ   早川清 田部井和
  孫呉熱      笠原四郎 北野政次 石川太刀雄
  天然痘      笠原四郎 石川太刀雄
  破傷風     石井四郎 細谷省吾 石光薫
  森林ダニ脳炎  笠原四郎 北野政次
  つつが虫     笠原四郎
  結核       二木秀雄 石井四郎

  野兎病      石井四郎  
  腸チフス     田部井和 岡本耕造
  発疹チフス   笠原四郎 有田マサヨシ 浜田トヨヒロ 
            北野政次 石川太刀雄
 
 載物ガラス目録

 B 金沢で我々に提出された病理標本は全く無秩序な状態にあった。この標本を事例番号順に整理し、標本の一覧表をつくり、標本を目録に記入することが必要だった。

 C 尋問した人から得た情報は、笠原四郎博士の場合を除いて記憶によるものである。笠原博士は、孫呉熱の実験をした三つの主題の温度表とそれに関連する臨床データの記録を所有していた。(表T、U)

4 諸結果
 A 省略

 B  金沢の病理標本は、ハルビンから石川太刀雄によって1943年に持ってこられた。それは約500の人間の標本から成っている。そのうちの400だけが研究に適した標本であ。ハルビンで解剖された人間の事例の総数は、岡本耕造博士によれば、1945年に1000以下であった(表R)。この数は石川博士が日本に帰ったときのハルビンに現存していた数より200多い。最初に提出された標本目録の結果からして、多くの標本が提出されていないことが明らかであった。しかしながら、最初に提出されたよりも著しく多い標本の追加的コレクションを入手するには、多少催促するだけでよかった。
 左の表は、様々な疾病毎の事例数と研究に適した標本の事例数である。
   (以下省略)

 C  個々の調査者から特別の説明文書を入手した。実験に関する彼らの記述は別の報告書に収めてある。これらの説明文は、一覧表で示された病理標本をわかりやすく説明するものであり、人間および植物に対する伝染病の実験の程度を示すものである。

5 この調査で収集された証拠は、この分野のこれまでにわかっていた諸側面を大いに補充し豊富にした。それは、日本の科学者が数百万 ドルと長い歳月をかけて得たデータである。情報は特定の細菌の感染量で示されているこれらの疾 病に対する人間の罹病性に関するものである。かような情報は我々の研究所では得ることができなかった。なぜなら、人間に対する実験には疑念があるからで ある。これらのデータは今日まで総額25万円で確保されたのであり、研究にかかった実際の費用に比べれば微々たる額である。
 さらに、収集された病理標本はこれらの実験の内容を示す唯一の物的証拠である。この情報を自発的に提供した個々人が、そのことで当惑することのないよう、また、この情報が他人の手に入ることを防ぐために、あらゆる努力がなされるように希望する。
                                  エドウィン・V・ヒル M.D.
                                  主任、基礎科学

                                  キャンプ・デトリック、
                                  メリーランド

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     http://www15.ocn.ne.jp/~hide20/ に投稿記事一覧表があります。
一部漢数字をアラビア数字に換えたり、読点を省略または追加したりしています。
 

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