真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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「もしトラ」に備えるメディアの真実の報道

2024年03月21日 | 国際・政治
 先日、朝日新聞で、今までにない二つの記事を目にしました。一つはウクライナの実態を伝える記事であり、もう一つはロシアの実態を伝える記事です。
 ウクライナの実態を伝える記事の内容は、兵士の家族や親族が、「前線で戦う兵士には休息が必要だ」ということで、軍務に期限を設けるよう抗議の声をあげているということ、また、従軍する兵士の除隊時期を明確に示すよう政府に求めて抗議デモをしている人たちもいるということ、そして、ウクライナからこれまでに2万人近くが徴兵を逃れるために国外に出国したようだということ、さらに、川を泳いだり、夜間に徒歩で国境を越えたりして国外に逃れようとしたウクライナ人が、およそ2万1千人もウクライナ当局に拘束されたというようなことでした。
 ウクライナでは、ロシアの「特別軍事作戦」開始直後に、総動員令が出され、18歳から60歳の男性が徴兵の対象となって出国が禁じられましたが、ロシアとの戦いを望まないウクライナ人が、徴兵を逃れるために賄賂を贈るなどの汚職も後を絶たず、社会問題となっていて、兵員の確保が難しくなっているというようなことでした。ウクライナにおける汚職は、それ以前からいろいろあったようですが、それにしても、こうしたウクライナの現在の実態が報道されることは、今までにないことだと思います。SNSでは、ウクライナ当局が、抵抗する男性を暴力をもって連れ去るというような徴兵の動画をたびたび目にしましたが、やはりウクライナでは、そういうこともあったのだろうと思います。

 もう一つは、ロシアにはロシア軍を支えるボランティア団体が多数あり、さまざまな取り組みをしているという記事です。ボランティア団体はおよそ二万団体、数十億円規模ではないかということです。例として、ウクライナの前線に送る迷彩ネットをつくる人たち、兵士に送る伝統料理をつくる人たち、戦闘服や靴下をつくる人たち、ドローンを前線に送る人たちなどのボランティア団体があるということです。無料の軍事訓練コースを開いている人たちさえあるということです。そして、「政府が(ウクライナ侵攻で生じた)政策の『穴』をふさぐには時間が必要だ。政府を助け、問題を早急に解決するために生まれたのがボランティアだ」と関係者が話しているということです。

 私は、ウクライナ戦争におけるウクライナの勝利は遠のくばかりで、ウクライナとウクライナを支援するアメリカを中心とするNATO諸国が、いよいよ追い詰められてきたからではないかと想像します。
  先日、フランスのマクロン大統領が、「我が国の兵士をウクライナに送る可能性を排除しない」と発言したことが報じられましたが、それは、深刻な兵士不足に直面するウクライナの勝利が事実上ありえないことを示していると思います。
 だから、「停戦」を考慮せざるをえない状況になりつつなるのに、ゼレンスキー政権支持やアメリカのバイデン政権戦争支援戦略一辺倒の報道では、「停戦」に対応できないということではないかと思うのです。また、「自分が大統領になったら24時間でこの戦争を終わらせる」と公言しているトランプ氏が大統領になる可能性が、現実のものになりつつあるからではないかと思います。
 もし、「停戦」後に、ウクライナの実態が知られることになれば、報道の偏りに対する批判を受け、信用を失うことになる心配があるから、「もしトラ」に備えるための報道を始めたということだろうと想像しています。

 そしてそれは、日本のメディアが、アメリカのバイデン政権の影響下にあることを示しているのであって、ウクライナ戦争が、民主主義と専制主義の戦いなどではないこと、また、イスラエル・パレスチナ戦争が、テロとの戦いなどではなく、アメリカを中心とする西側諸国の覇権と利益のための戦いであることを物語っていると思います。

 そんなことを考えるのは、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」に存在するはずの米軍の日本における振る舞いが、あまりに非民主的で理不尽であること、また、現実的には、アメリカの利益と覇権の維持のために存在するような活動が展開されていると考えられるからです。
 下記は、「日米地位協定逐条批判」地位協定研究会著(新日本出版社)から、「公益事業などの利用優先権」に関する部分を抜萃しましたが、日本に駐留する米兵のみならず、その家族も、生活のあらゆる面で、日本の国内法を守る義務を免除されたり、優遇されたりしているのです。
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             4 米軍の優先使用、協力を義務化
                 ──第六~八条 十条、二十一~二十三条


  二 公益事業などの利用優先権
 地位協定第七条は、米軍による公益事業の利用について定めている。米軍は、「日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件」よりも不利でない条件で、「日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業および公共の役務」を利用することができ、ならびにその利用における優先権を享有する(第7条)。
「公共の事業及び公益の役務」とは、日本政府が法令上、「有し、管理し、又は規制する公共サービスをさし、国が自ら所有し、おこなっている事業、例えば郵便ばかりでなく、公社が行っている業務、電気、電気通信、水道、電気、ガス、交通事業、放送、道路など国が法令によって規制している私的企業をもふくむいっさいの公共的な事業と役務がふくまれる。
「日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件」より不利でない条件とは、政府によれば、日本政府の官庁(地方公共団体などの機関は除く)に一般的に適用されている条件よりも不利でないという意味であり。優先権の享有をとくに米軍に認めているものではないと説明されている。しかし、実際には、公共的事業と役務の具体的な利用の取り決めなどにおいて、米軍が国内の一般人や団体よりも優先権を得ている事例が多い。

  米軍は、旧国有鉄道とのあいだに「公務鉄道輸送支払い手続き設定のための日本国有鉄道とアメリカ合衆国との間の協定」を結び、通常料金よりも安く輸送できるようになっていたといわれている。 また、ジェット燃料などについては、米軍からの貸渡車によって輸送しており、急を要する場合は米軍の貨物が、「公益上の必要あるとき」(鉄道営業法第九条)という扱いで他の輸送に優先されている。国鉄がJRに替わっても優先的取り扱いを認める協定は、JRにひきつがれ、基本的には変わっていないと思われる。1967年8月、新宿駅構内でタンク車が炎上して問題になったジェット燃料輸送は、66年には年間18,852両(約54万トン)となっており、一日に換算すると90両以上のジェット燃料が当時の国鉄南武線や中央線を運行していた。その輸送料は、民間の危険物輸送料の二分の一程度だといわれていた(『法律時報』69年5月号臨時増刊「安保条約」参照)。


 電気通信施設については、日米合同委員会において、第一に施設・区域内の電気通信施設は、米軍が必要な措置を取れること、第二に、施設・区域外においても日本の電気通信施設の優先利用権を米軍が有し、その施設へ米軍が自由に入りする権利があること、また、「日本防衛」のため必要な場合は、米軍みずからが施設を建設、運用、維持できることなどが合意されている(前掲「法律時報」臨時増刊号参照)。
 電話料金については、71年5月の日米合同委員会の合意により、電電公社(当時)の一般施設については一般専用回線と同じ料金で、占領中に終戦処理費で米軍のためにつくった施設と、米軍のリロケーション(配置転換)のため安保諸費でつくった施設については回線費用は無償とし、日本側による施設の保守・修理に要する実費相当額のみを支払うことになったとされている。
 電気ガスについては、電気、ガス会社と米軍との契約にもとづいて供給され、料金が支払われているが、供給についての具体的な優遇の内容はまだその実態が分かっていない。
郵便については、米軍関係の郵便は一般郵便とは同一の扱いをされていない。米軍独自の郵便局の設置、運営も認められている。国外向けの米軍郵便物については、米軍がみずから取り扱いをおこなっている。また、日本の郵便局経由の日本国内間での米軍関係郵便についても、一般郵便物とは別の取り扱いがされている。
放送業務についても、日米合同委員会において郵政省、各放送会社と米軍とのあいだの直接交渉の決定にもとづいて米軍が広報業務をおこなうこと、周波数の配分や妨害除去についてなども合意されている。また、電話監視についても日米が協同して処置をとることが合意されているとのことである。
 
 上水道は、戦後日本に上陸した占領軍が旧日本軍の専用水道のある基地ではそれを使用し、新たに基地が建設されたところでは水道施設が作られ、地方公共団体から給水された。占領軍は1946年1月、日本政府に「対日指令書」を発し、占領軍への「優先的給水義務」を課した。そのうえ、上水道建設費と上水道料金は、日本国民の租税(終戦処理費という名の占領費)から支払われた。
 旧安保条約・行政協定発効の52年4月以後、米軍と地方公共団体との間で、ユーティリティ・サービス・コントラクトという名の給水契約が、行政協定第七条を「根拠」に結ばれるようになった。
 料金の支払いは別として、米軍の各種特権を容認する従属的な給水契約であるが、その基本的な内容は以下の通りである。
 第一は、契約書の正文を英文テキストとしていることである。
 第二は、緊急給水の義務付けと断水の場合の基本料金の減額規定の明記である。
 第三は、給水契約を事実上、地方公共団体の給水条例に優先させていることである。
 第四は、両当事者間に紛争が生じた場合、米軍の契約官が事実上の決定権を持ち、地方公共団体の権利が無視されていることである。
 第五は、料金についてである。契約書では地位協定第七条を引き合いに出して、日本の官庁に適用されている最低料金を云々しているが、日本にはこのような事例はないから、米軍に特別料金を適用していない。これは当然のことである。(岩国市では73年4月、米軍への特恵料金廃止に踏み切った。しかし、神奈川県横須賀市のように用途別料金体系を取っていないところでは、それを採用している自治体と比べて米軍給水が安価になっていることに注意しなければならない。(以上、詳しくは佐藤昌一郎『反核の時代』10章参照 青木書店84年)。」
 これらは日本の水道法・水道条例に反する従属的なものであり、廃棄するのが当然であった。 しかし、米軍の強制、自治体の屈服、日本政府の黙認のなかで継続してきた。
 この従属的な給水契約を拒否する動きが70年代にあらわれる。地方自治の観点からも注目すべきことなので、やや具体的に論じておきたい。
 その第一は、71年東京都内の米軍住宅(グラント・ハイツとグリーン・パーク)を横田基地に移す計画に起因する問題である。横田基地では地下水を汲み上げ、米軍が専用水道としていたが、住宅=人口増と永年にわたる汲み上げで必要地下水の確保が困難となり、防衛施設庁は当初立川市に給水を要請した(71年5月)。しかしその後、音沙汰なしなので、立川市が調査したところ、基地内に口径350ミリ、深さ350メートルの深井戸が掘られ、揚水試験をするばかりになっていることが判明した。阿部行蔵市長は地下水汲み上げの中止を施設長に要求し(71年11月)、東京都も同じく要求し、断念させた。これが第一の成果である。施設長と米軍は阿部革新市長へ給水申し込みをやめ、武蔵村山市にくらがえして東京防衛施設局長名で同市長に給水依頼を行った(71年12月末)。
 市長はその契約を専決事項として処理しようとしたが、市議会での革新議員の追及を先頭とする不平等契約反対の合意、市民運動の展開などの諸要求の結合で、前述した従属的内容を一掃する給水契約をかちとった(詳しくは佐藤昌一郎「水道事業と地位協定〔下〕」法政大学『経営志林11巻2号、75年1月参照)。この時の米軍契約担当官はその合意のゆえに更迭されたといわれるが、米軍は武蔵村山市からの給水施設を日本側の負担で作らせながら、同市からの給水を受けず、当時基地との共存を掲げていた福生市に給水依頼をするのである(東京防衛施設局が74年9月福生市に要請)。
 第二は、沖縄の場合である。・・・以下略


 下水道は、これまで上水道ほど論議されてはいないが、福生市、武蔵村山市は基地内の住宅(現在約1400戸)に79年(福生市)、87年(武蔵村山市)、米軍の覚書で汚水排出量が増えるにつれて料金が上がる累進制をとっている大口需要者から基地をはずしているために、前者が94年度約4800万円、後者が最大で同額の減少になっている。福生市は16年間で約6億円の「値引き」である。佐世保市や宜野湾市はこのような措置をとっていない。(朝日新聞95年10月20日付夕刊)。
 自治体の主体性が問われているのである。
 また、基地内のゴミ処理問題、米軍の自治体との「消防援助協定」も多くの問題をはらんでおり、批判しなければならない。













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