今年の3.11が近づいてきたせいか、ここ最近は、テレビでも被災地の現状がよく紹介されている。
たとえば、今日のNHK「あさイチ!」で、福島市の線量が0.20μSv/hで、市民はもう気にしなていないという内容(一方、二本松市では気にする母親グループの紹介)だった。
0.2μSv/hという値は、原発事故直後の東京の最高値(私の実測)に等しく、また日本の高放射線帯である東濃(岐阜県多治見市~中津川市)の私の実測値にほぼ等しい。
もちろん、当時の私の判断で東京の値は逃げるには値しなかった。
東濃はもちろん原発事故とは無関係で、地中からのラドンガスが太古の昔よりずっとこの値を出し続けている(いずれ福島市はここより下回る)。
ラドンガスの危険性を高く評価するなら、肺がんの死亡率が高くなるはずなので、東濃住民の「悪性新生物」による自治体単位の最近数年分の死亡率を、岐阜の他地域と比較したが、特に高いという結果ではなかった。
すなわちこの値は健康被害を心配するには及ばない。
ただし、重要な点が等閑視されている。
この値は空気中のγ線であり、地表のβ線(α線も)の存在が無視されているのだ。
東濃と東日本との違いは、このβ線にある。
すなわち、空気中の値は東濃と福島で差がないが、セシウムなどが付着している福島の地面のβ線はずっと高いはず。
β線の汚染分布は非常に複雑で、一軒の家の周囲でも異なり、いわゆるマイクロスポットを形成する。
場所によっては空気中(地上1m)より10倍は高い(地表1cmでの値)。
β線が高い所では、地面に触れた部分は空気中より汚染される。
地面に触れた手が口内に入ると体内でα線による内部被曝の恐れが生じる。
二本松市のグループの人も、γ線の評価だけで、β線・α線に対しての懸念がなかった点が気になる。
逆に言えば、建物も透過して防ぎようがないγ線と違い、透過性が極端に低いβ線・α線被曝は自覚すれば服一枚で防げる(白い防護服はこのために着ている)。
だから、小さい子を裸足で歩かせない、地面を素手でさわらせない、風の強い日は土ぼこりを吸わないようマスクをさせるなど、きちんと”自覚”して対応することが必要なのだ(内部被曝の”恐怖”をいたずらに煽られないように)。
ホントは、自宅周辺・生活圏で地表のβ線を計りまくり、マイクロスポットを確認しておけば、そこ以外では神経質にならないですむ。
γ線しか測れない線量計ではこれができない。
追記:よく考えてみれば、福島県民は放射線と健康について専門家のレクチャーを受けていないはずがない。γ線とβ線の区別がつかないのは在京マスコミだけなんだろう。