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山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

なんで強い雨と弱い雨があるの:気象学超入門9

2023年03月16日 | お天気

◇雨の2種類

雨に2種類あるって知ってる? 
気象学での2種類は、「地雨(じあめ)」と「驟雨(しゅうう)」です.
この2種類は,それを降らせる雲が違うから.

ということは雲にも2種類あるってこと.
それは「層状雲」と「対流雲」.

地雨は,一定の強さで持続的に降る,地味な雨.これは層状雲から降る雨で,低気圧前面の温暖前線下で降る雨が該当します.

驟雨は急に降って,あっさり止んで,後はカラっと晴れる,「にわか雨」.これは対流雲から降る雨で,低気圧後面の寒冷前線や台風で降る雨です.そう,台風の雨が強いのは対流雲の塊から降る驟雨だから.

ちなみに「ゲリラ豪雨」はマスコミがやたら使いたがる下品な表現ですが、気象学用語ではありません。なので私も一切使いません。これに相当する用語は災害をもたらすレベルの驟雨である「短時間強雨」です。


◇雲の2種類

ではこの2種類の雲はどうちがうのか.
層状雲は,巻雲(けんうん)から,高層雲・層雲など,厚みはどうあれ横にたなびく雲.
対流雲は,積雲→雄大積雲→積乱雲の縦(鉛直)に成長する雲.

雲の正式名称を思い出してください(4)。
「巻雲」以外は、「⚪︎層雲」と「⚪︎積雲」の2種類が使われています(層積雲というのもありました。ただし「⚪︎積雲」=対流雲ではありません)。
対流雲は気象現象として重要な積乱雲を意味すると思っていいです
(積雲と違って巻積雲・高積雲・層積雲は積乱雲に成長しないので、対流雲とされません)

雲は上昇流でできるでしょ.
だから雲の二種類は,上昇流の違いを表現しています.

層状雲は,一団の空気がゆっくり上昇してできた雲.
低気圧前面の温暖前線のように,面積的に大規模なゆっくりした上昇流がある証拠.

対流雲は,寒冷前線のように,寒気が暖気の下にもぐりこんで暖気を持ち上げるような急激な上昇流がある証拠(大気が”不安定”状態).
30分くらいで高度7000mにも成長します.
さらに10000mを越えて成層圏の下まで達すると(上が暖かいので)上昇できなくて横に拡がって,「かなとこ雲」になります.
こうなったらすごい雷雨を覚悟.
それだけでなく強風(下降流)や,時には竜巻も起こります.
積乱雲って空の暴れん坊(→).
対流雲は上昇流速度が大きいけど,面積規模は小さく,寿命も1時間程度(だから予報も難しい).

でも例外があります.
大規模な対流雲がどんどん集まって何日も元気に強烈な降雨帯を維持する場合.それが熱帯低気圧(台風)です.
そこで次の疑問へ.

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