風が風速17m/s以上あるから定義上「台風」っていうんだ,てのは答えになりませんね.
ちなみに風速17m/sというのは「小枝が折れ,ビニールハウスが壊れ始める」強さです.
つまり”なんらかの被害が出はじめる強さ”だと思ってください(その意味で「風速17m/s」という数値は覚えておきましょう).
天気図でみると,台風のような強い熱帯低気圧と温帯低気圧・高気圧との大きな違いは,等圧線の混み具合です.
これが強風の原因です.
◇風が吹く原理
そもそも風はどこからどこへ吹くのでしょうか.
空気は水と同じ流体なので,気圧(空気を押す力)差のある2地点の間では,気圧が高いところから低いところへ流れます.
つまり高気圧とは風の吹き(押し)出し口であり,低気圧とは風の吸い込み口なのです.
水路の傾斜が強いと水流が速くなるように,気圧差が大きいと風(空気の流れ)が強く(速く)なります.
つまり台風のように等圧線の間隔が狭い場所では,気圧の勾配が強い(気圧傾度が大きい)ので,空気の流れる速度=風速が強いのです.
ただし風は高圧部から低圧部へまっすぐには吹きません.
台風の場合はラセン状に吹き込んできます.
方向を曲げる力(コリオリの力※、摩擦力など)がいろいろと作用するからです.
※:コリオリの力は台風を発生させる原因にもなっています。ここでは説明しきれないので、ネットで調べてください。
等圧線が混んでいる=気圧傾度が大きい=風が強い
◇台風の程度
ですから中心気圧が(周囲より)低い台風ほど(気圧傾度が大きいので)暴風域は広くなります.
ところで台風を表現する場合,「大型で強い」というように,大きさ(勢力)と強さの2種類で表現します.
大きさは,15m/s以上の強風域の半径によって決まり,強さは中心付近の最大風速で決められます.
中心気圧hPaではない点に注意してください(5)の低気圧の基準参照).
ちなみに風速15m/sは「樹木全体が揺れる」程の強さです.
台風には,俗に雨台風と風台風という特徴づけがあります.
もちろん一般に台風は雨も風も強いのですが,たとえば,雨の被害より風の被害を注意した方がいい「風台風」とはどんな特徴があるでしょうか.
考えてみてください.
勢力(降雨域)が狭いけど,等圧線の間隔の狭い,しかも移動速度の速い(ここがポイント),小粒でピリッとしまった台風です.
中心気圧が同じ980hPaでも温帯低気圧より熱帯低気圧(台風)の方が勢力(半径)が小さいのが普通です.
でも台風の方が被害が大きいですよね.
その理由の一つは,勢力が小さいからこそ,気圧傾度が大きいので,強風・暴風となるのです.
もう一つの理由は,雨の違いです.これは次問で.