今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

内気(ないき)の理論☯

2019年03月30日 | パワー・スピリチュアル

体の気、すなわち内気(ないき)とは生命エネルギーであり、内気の枯渇は死を意味する。
あるいは外気が内気化することで生命が発生し、維持される
(外気は、非生物にも共通して作用する、普遍的な宇宙エネルギーである)。
内気についてはすでに古代の陰陽論で詳細に理論化されているため、それを私なりの視点で紹介してみる。

まず生命エネルギーとしての内気は、受精による精気に由来し、それが元気となって個体を維持する。
ただし親由来の精気だけでは元気(個体)を維持しきれないので、
外気を呼吸で清気として、飲食で穀気(営気・衛気)として取り入れる。
吸収された気から清気と穀気が合せて血液という宗気となり、
営気は血液で運ばれる栄養分となり、衛気(えき)はリンパ液や汗などの津(しん)液となり、それぞれ体内を循環する。
宗気と営気(すなわち血液成分)は陰で、衛気は陽であるという。

またこれらの気は血管以外にも通路があり、それを経絡(けいらく)という。
経絡は手足と五臓六腑とを結んでおり、12の経絡は陰経と陽経に分れる。
経絡上にも気の出入口があり、それが手足の指先にありそれを井穴(せいけつ)という
(すなわち鼻と口以外にも外気と交流箇所がある)。
五臓六腑という内臓器官は内気の製造・貯蔵がなされる場である。

面白いことに古代の中国医学には、脳と神経系が位置づけられていない(脳の存在は認められているが)。
その結果、心の働きが五臓(肺・心・脾・肝・腎)に分散され、
心理作用は身体の生理作用としての気の現象とされることになり
(日本語でも心の状態は気の状態で表現される)、心身一元論が成立している。

さすがに現代の中国医学では、脳神経科学との矛盾を避けるため、脳を心の臓の一部とみなしているが、
私にとっては、心理現象を脳の活動に還元する脳神経科学よりは、
身体的な気の作用の一部とする心身一元論の方に惹かれている。

ただ現代医学の心身一元論(システム0)にとって重要な自律神経が含まれないのは容認できないので、
前々稿で私は交感神経を陽、副交感神経を陰に分類しておいた。
あと動脈は陽、静脈は陰に、吸気は陽、呼気は陰に分類できる(陰陽は多層化しうる)。

さて、このように内気が保つ身体に対して、外気が外邪として侵入してくる。
外邪とされるのは六つの外気、すなわち風・寒・暑・湿・燥・熱の六気(ほら気圧が入ってないでしょ)
の異常状態である(今では細菌・ウイルスも含む)。
これらはまずは皮膚などの体表から侵入し、その下の衛気の防衛ラインを突破すると、
体内に浸潤して営気(血液)を傷つけ、更に臓腑に達して、重篤な症状をもたらす。
なので外邪が衛気に接した段階で対処するのが重要だとわかる。

また内側から病理が発する場合は、七情すなわち情動の亢進が原因となる。
まさに心身一元論である。
気の理論に精神論的要素は皆無に等しいが、これは内なる邪心すなわち内邪といっていいのではないか。

いずれにせよ病因側を邪気とすると、まずは健康な内気の正気と邪気との闘争状態となり、正気が負けると発病となる。
言い換えると邪気単独では病気にならない。

発病は体内の陰陽の失調という形をとる。
すなわち陰または陽が強すぎる状態()、あるいは陰または陽が弱すぎる状態()となる。
アンバランスにも実と虚の二様があるわけだ。
実証は、興奮・亢進状態で、虚証は、衰弱状態である。
なので、経過として実証→虚証という変化をとるので、実証の段階での対処が重要となる。
気・血・津液それぞれも異常現象があり、たとえば気が消耗する気虚、気が流れなくなる気滞気鬱)、
気が逆上する気逆などがある。

以上の気の病理的現象を総称して「病気」という。
気は心身一元論における身体状態を指すことから、「病は気から」という言葉を病気=心因性とする解釈は誤りで、気鬱をうつ病と限定して解釈するのも誤り。

主たる治療法として、
臓腑あるいは気血津液の状態の陰陽バランスを煎じ薬によって回復させるのが漢方、
経絡を刺激して内気とその先の臓腑の動きをスムースにするのが鍼灸、
経絡(特に体幹と頭部を縦に循環する督脈と任脈)を活発化して、外気を内気化あるいは内気を外気化するのが気功である
(内気の外気化は気功師側の治療行為)。

今回の内気論については、ほとんど既説(しかも古代の)の解説で終ったが、
これと前稿の気象(外気)の陰陽論☯と組み合わせて、
生気象学の陰陽論☯を構成してみたい。→「気の理論の生気象学」へ続く

主な参考書:『中医基礎理論』中医薬大学全国共通教材 浅野周(訳)たにぐち書店 、他。



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