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山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

気象の陰陽論☯

2019年03月29日 | パワー・スピリチュアル

生気象学は、生体に対する気象の影響を問題にするのだが、
それを気で表現すると、内気に対する外気の影響の問題ということになる。
ここではまず、外気としての象についての陰陽論を再構成してみたい。 

伝統的な外気としては温熱・乾湿があり、前稿でこれらに気圧を加えた。
ここでは前稿の気圧に温熱・乾湿を加えて、大気の陰陽を論じることにする。

そもそも地球の気象(大気現象)の根本要因は太陽放射(これも気)である。
太陽放射が地表と大気を昇温し、その不在で減温する。
またボイル・シャルルの法則により、気体の熱量(温度)は質量(気圧)に転換されるので、
寒気は重たいため下降流となり、高気圧を形成する。
寒も下降も陰であるため、高気圧も陰となる。
暖気は軽いため上昇流となり、低気圧を形成する。
暖も上昇も陽であるため、低気圧も陽となる(ここまでは前稿で言及)。

陽気は激しい動きになり、陰気は落ち着いて静かである。
たとえば熱帯低気圧は、水蒸気の凝結によって発生する熱エネルギーが運動エネルギーに転換されることで
巨大なエネルギーをもった台風となる。
このような熱→運動のエネルギー転換は陽気の特徴である。
であるから陽気(低気圧)はエネルギーが強いため、気象的擾乱として力学的作用(強風・波浪)をわれわれに与える。

その擾乱をもたらす風は、マクロ的には赤道と極地の温度差、
メソ的には低気圧と高気圧の気圧差によって発生する(ミクロ的には地形が影響する)。
風ベクトル(強さと方向をもつ)の元と先、すなわち風上→風下は、質量的には重い→軽いであり、
気象的には寒・高気圧→暖・低気圧となるので、
陰→陽と置き換えられる。
すなわち、大気の風は基本的には陰風なのである。

陰風であるから風は同じ陰の寒を伴いがちで、本来なら単なる風だけの”風邪”も、
実際には寒による寒邪となる(冬に風邪をひきやすい)。
ただし現実には陽風(南風)もある(たとえば低気圧が北に偏ると、南から陽風が吹き込む)。
陽風は寒邪ではなく、熱波を伴えば熱邪となり、また花粉など微粒子を運ぶ邪風になりうる。

空気中の水分も陰陽に分れ、乾燥=陽、湿潤(水)=陰に対応する。
液体としての水は下降するので陰であることは明瞭だが、
古代陰陽論では認識されていなかった水蒸気は熱を出して上昇するから陽である。
さらにになるのは陰であり、になるのは陽であることからも、
やはり水(液体・固体)=陰、水蒸気=陽となる(熱帯低気圧の項と関連)。
すなわち蒸発は陰が陽に変容する現象である(陽が陰に変容するのが凝結で、まさに陰陽は循環する☯)。

空気中の温度と湿度に気圧を加えると理論上は3bitの八卦となるが、力学的理由で8つすべてが実現するわけではない。

①熱湿低(陽陰陽:離)→熱帯、モンスーン、低気圧が発生しやすい。
②熱乾高(陽陽陰:兌)→砂漠、亜熱帯高圧帯
地球の子午線上には、熱帯の上昇域(陽)と亜熱帯の下降域(陰)のハドレー循環という力学的に陰気が陽気に変容する循環☯があるため、
湿と高、乾と低は両立しがたく③熱湿高(陽陰陰:震)・④熱乾低(陽陽陽:乾)は発生しにくい。
日本の夏を支配する太平洋高気圧は、海洋性のためやや③熱湿高(陽陰陰)的であるが、日本本土の夏の気圧は低めなので、①熱帯に近くなる。 

日本付近の温帯では、冬期に寒気が強くなる。
⑤寒湿高(陰陰陰:坤)→冷たいシベリア高気圧(強い陰陰)が日本海で湿気(陰)を受けると、
陰の亢進で陰なりにエネルギーが高くなり大雪(大陰)となる。
⑥寒湿低(陰陰陽:艮)→台風並みに発達する冬の北太平洋低気圧で、
シベリア高気圧と合せて日本の冬型気圧配置を構成する(本土には影響なし)。
等圧線を狭くしてシベリアからの 冷たい北風を日本にもたらす。
⑦寒乾高(陰陽陰:坎)→上の寒気から湿気が抜けると乾燥した北風(からっ風)となり、太平洋側の安定した晴天域をもたらす。
また⑧寒乾低(陰陽陽:巽)はより高緯度の極地低気圧である(極地にも循環がある)。

以上の陰陽3ビットによる八卦は、気象学的には等確率ではなく、因果連鎖が明確なので、占筮(下駄を放る)に頼ることなく、観測データによる科学的予測が可能となる。

読者とっては、低気圧=陽、高気圧=陰、というのが直感と合わないかもしれない。
なぜなら、高気圧下では晴天となり、明るく暖かい陽気を感じ、低気圧下では雨天となり、暗く冷たい陰気を感じるため。
地上の天気は、雲が一番影響する。
雲は大気中の水蒸気が凝結して発生するので乾湿が問題だ。
すなわち、乾=陽、湿=陰が天気(晴れ、曇り、雨)を作り、天気における暖冷は雲の有無による地上日射の結果なので二次的作用だ。
雲自体は陰であるから、天気として、曇り(空<雲)と雨(水)は陰で、晴れ(空>雲)は陽となるのは確か。
問題は、その雲の原因だが、雲を散らすのは高気圧の下降流(陰)で、雲を作るのが低気圧の上昇流(陽)なのだ
(電磁気力のように、陰が陰を遠ざけ、陽が陰を集める)。
また一般には高/低=陽/陰だが、気圧の高低は、天地の高さの差ではなく、地上での圧力の重軽の違いなので、高気圧/低気圧=重い(地)/軽い(天)=陰/陽の対応となる。
陰陽はかように原理的な物理作用(天地の理)であって、人間の主観的な印象ではない。 

また、陰陽と暦も微妙な関係にある。
古代から、陰が極まるのは冬至、陽が極まるのは夏至とされている。
すなわち暦の陰陽は太陽高度(昼夜のバランス)が規準であって、気温ではない。
冬至以降(夏至まで)は陽の期間で、夏至以降(冬至まで)は陰の期間となる。
すると一年で一番寒い1月は陽で(正月は陽の行事)、一年で一番暑い8月は陰に属する(盆は陰の行事)ことになる。
肌感覚にとって最も身近な寒暖の陰陽は、かように影響力が弱いのだ(ここでも、陰陽の原理は人間基準ではない)。

言い換えれば、陽期の前半(1-3月)は残陰が強く、陰期の前半(7-9月)は残陽が強いといえ、
陰陽の循環(交代)は(気圧や乾湿の循環も含まれる)複数の位相差がからみあった漸進的な現象といえる。 
ただし残陽・残陰も前半と後半の境である彼岸(春分・秋分)までであることは経験的にも知られている。

以上のように気象(外気)を陰陽の組み合わせで、古典的記述よりも詳しく表現できた。
この外気の陰陽の状態が生体にどう影響するかが、生気象学的陰陽論の問題となる。



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