つくば市で起きた、2歳児を車の中に置き忘れて死なせてしまった事故。
夫が在宅での仕事に集中していて、置き忘れた事にずっと気づかなかった。
こういうミスは、誰でも起りうるのでひと事ではない。
なぜ起きて、どうやって防げばいいのか。
例によって「二重過程モデル」※で考えてみる。
※認知・行動をシステム1(速いが不正確)とシステム2(正確だが遅い)からなるという心理モデル。私のブログでは基本タームなので、知らない人は、ググってみて。有名な本は、D.カーネマンの『ファスト&スロー』。ちなみに私はこのモデルを拡張した「多重過程モデル」を提唱している。
システム1による忘却は、対象が視野にないために起きる。
たとえば、傘を電車の中や店の傘立てに忘れる場合だ。
雨が止んだ外出先で傘を忘れないためには、手から離さないことが一番。
システム2による忘却は、注意対象でないため。
システム2の選択的注意は、非選択の認知対象を頭から消す。
すなわち、他のことに集中すると、その事は忘れる。
車の中で子どもを置き忘れる場合は、システム1でいうと、車から降りる時に後部座席に目を向けないために起きる。
システム2でいうと、子どもの事を忘れて他のことを考えているために起きる。
これを防ぐには、確認行為の習慣化が必要。
確認というシステム2を、習慣化というシステム1にすること。
そうすることで、確認のし忘れを防ぐ。
確認の一番いい方法はチェックリストを作ること。
スーパーの買い物などに使うだろう。
ただ毎回チェック項目が異なると作りにくい。
もうひとつは、点検動作をすること。
空間での確認で、指呼点検をする(鉄道の運転手がやるように、言葉でも確認するとよい)。
すなわち、動作として体に覚えさす。
習慣化とは、毎回やること。
すると、そのうち条件づけされて、自然に遂行される。
私自身は、車から降りる時、サイドブレーキとギアの位置(マニュアル車なので)、カーナビとスマホの着脱を、目視と指呼で点検することが習慣化されている。
家族がいる場合は、後部座席(とりわけチャイルドシート)を目視と指呼で確認する動作を加えればよい。
自分でこの習慣化がされた理由は、過去に忘れた失敗があったためで、
1度目の小さな失敗によって、行動修正し、それを習慣化(条件づけ)されることで、2度目以降の失敗を防ぐことになる。
システム1とシステム2の特性を活かして、うまく分業的に組み合わせるのだ。
この他にも、後部座席にセンサーやカメラをつけるなど、メカによる人間能力の補強という方法がある。
メカは最初から自動(システム1)化されていて、
しかも人間のシステム1より精度が高いから信頼できる。
こちら方向での対処も選択肢に入れていい。