明治政府が廃止してしまった、日本の重要な年中行事であった”五節句”の1つ、七夕(しちせき)の節句は、棚機津女(たなばたつめ)が主人公である。
つまり機織(はたおり)の女性が自分の技能向上を、織女(琴座のヴェガ)に祈るのである。
七夕飾りは、その願い事を飾るもの。
なので”乞巧奠”(きこうてん)ともいう。
もちろんついでに、夜空を見上げて、夫の牽牛(わし座のアルタイル)との天の川をはんさんでの年に一度の逢瀬を応援する。
だから恋愛成就もこっそり祈っていい。
そもそも機織とは、女性が現金収入を得る第1の技能であって、
わが勤務先の女子大学が明治期に裁縫学校としてスタートしたのも、女性の経済的自立を支援するためだった。
今で言う、キャリア教育である。
七夕の夜は素麺(冷や麦を含む)食べるというのが伝統である。
白く細い素麺が機織の糸を模しているからだろう。
そして五色の糸を交えるように、冷や麦には赤や黄色や緑の麺が混じっている。
ただし、盛夏の夏バテ時のように、麺とつゆだけではつまらない。
ここは、季節の野菜などを天ぷらにして、好きな具材をふんだんに盛り込んだ豪勢な素麺パーティとしよう(ビールも旨い!)。
本来なら、夏の星空(今なら丁度蛍の季節)を眺めながら食べたいが、新暦では梅雨空なのでそれはかないにくい。
でもこのように、七夕は盛り上がる要素を含んでいるので、五節句復活委員会としては、みんなで盛り上げて行きたい。