今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

気になる箱根の火山活動

2015年05月05日 | 防災・安全

東京から100km圏内、横浜からならさらに近い箱根(神奈川県)で火山性地震(≠火山性微動)が増え、観光名所で水蒸気の噴気が足下で見られる大涌谷(写真は2007年)が立入禁止となった。

御嶽に続いて、蔵王がと言われていたら、なんと箱根までが。 

箱根山は、25万年ほど前は標高2700mほどの富士山型の成層火山だったが、巨大噴火をして、山体中心部が破壊されてカルデラを形成し、その後、中央部からまた山体が形成され、また大爆発でカルデラが形成された。

その後、小規模な火山活動が再開して、カルデラ内に中央火口丘が次々とできて、3000年前に最高峰の神山の北側が水蒸気爆発をして、大涌谷を形成して現在に至っている(参考文献:『箱根火山探訪』袴田和夫 1993)。

こうしてみると箱根の主たる噴火口はほぼ一貫してど真ん中の神山付近であるから、大涌谷は箱根火山の火口そのものともいえる。

火山としては、すでにズタズタに開析されてしまったので(すなわち老年期)、関東ローム層を形成した時のようなカルデラ形成につながる山体全体の大爆発は起こらないだろうが(山体自体の体積が今では少ない)、カルデラ内の町や交通機関(鉄道、バス、ケーブル、ロープウエイ)に影響する水蒸気の小爆発は(いつでも)起こりうる(たとえば前回山津波が起きた大涌谷から姥子・仙石原にかけて。風向によっては強羅側も)。

そう、箱根は火山体の内部にいくつもの町があり、温泉街があるのだ。

そして気になるのは、箱根の隣にある、火山としてはずっと若い富士山。
今の富士がまさに最初期の箱根の姿で、それが山体崩壊する大爆発でカルデラを形成する可能性は、長い目で見れば当然ありうる。
といっても現在の富士は、山頂火口部の地温が下っており(少し前は白煙があがっていたという)、むしろ休眠期に入ったばかりともいえる。
ただ駿河湾や相模湾のトラフの活動や隣の箱根の活動で、眠りの邪魔をされるかもしれない。 なにしろ富士山は「活火山」だから。

※風評被害を助長しそうな表現をしていたので、改めた。大涌谷に面していない所は危険でない。