博客 金烏工房

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絵本楊家将 第14章 智救楊六郎(前編)

2012年02月26日 | 絵本楊家将
第14章 智救楊六郎(前編)

謝金吾が死ぬと、王欽は焦賛が犯人であるとつきとめました。そして楊六郎を排除する機会がやって来たと思い、いそいそと真宗のもとに報告に向かいます。真宗は大変驚いて言いました。「楊延昭は辺境を守っておるというのに、どうしてその部将が都で人を殺したりするのだ?」王欽は言いました。「陛下はご存知ないかもしれませんが、楊延昭は数日前に勝手に佳山寨を離れ、焦賛を伴って都に戻っていたのでございます。陛下、何卒二人を捕らえて罪を問うて下さいませ。」真宗はそれを承諾し、近衛兵に命じて天波府で楊六郎と焦賛を捕らえさせることにしました。

近衛兵が天波府にやって来て、楊六郎はようやく焦賛が謝金吾を殺したことを知り、思わず怒りで全身が震えます。焦賛は却って殺人のことを何とも思っておらず、抵抗して捕縛から逃れようとすらします。六郎は声を張り上げて怒鳴りつけました。「このバカ者め、反抗するなら私がお前の首を斬ってやるぞ!まずは陛下にお会いして申し開きをするのだ。」焦賛はそれを聞いてようやく刀を放すと、近衛兵が二人を取り囲んで寄ってたかって縛り上げ、宮殿に連行しました。

真宗は問い質しました。「楊延昭、そなたは勝手に山寨を離れ、また部将を引き連れて謝副使を一家皆殺しにしたが、それが何の罪に当たるかわかっておろうな?」六郎は言いました。「最近陛下が天波府を取り壊すよう命じられ、私の母が心労のあまり病に罹りましたので、戻って見舞いをしたいと思ったまででございます。ただ、私は本当に焦賛が街で殺人を働いたことは知らなかったのです。何卒ご明察のほどを。もし調査によって私が本当に主謀者であるということになりましたら、甘んじて罰を受けたいと思います。」

王欽はこの機に乗じて煽り立て、真宗に速やかに楊六郎と焦賛を死刑にさせようとします。八賢王は言いました。「楊延昭は勝手に三関を離れましたが、情状酌量の余地がございます。焦賛は殺人を犯し、斬刑に処すべきところではありますが、辺境を守って功績があったことを思えば、処分を軽くすべきではないかと。」真宗は両人の話を斟酌し、六郎を汝州に配流して三年間労役に充てることにし、また焦賛は死罪を免除し、州に配流して軍役に充てるよう命令を下しました。

王欽は命を受けると、ただちに四十名の役人を楊府に派遣して六郎と焦賛に出発するよう催促させます。六郎は涙を流して身内に別れを告げ、焦賛や役人たちとともに出立しました。

十字路に着くと、焦賛が六郎に対して言いました。「州に行きましたら、すぐにでも佳山寨に戻ることにします。時が来たら岳勝兄貴にあなたを助けに行かせますよ。」六郎は言いました。「バカなことを言うな!死罪になるほど重い罪を犯したわけではないし、半年か一年ほど我慢すれば、山寨に戻れる日が来よう。」焦賛はこれを聞くと大声で笑い出し、六郎に別れを告げて行ってしまいました。

コメント (2)
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