博客 金烏工房

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絵本楊家将 第13章 怒殺謝金吾(前編)

2012年02月22日 | 絵本楊家将
第13章 怒殺謝金吾(前編)

王欽は楊六郎が連戦連勝であると聞き、六郎を排除しなければ宋朝を滅ぼせそうにないと思いました。王欽は策を練って枢密副使の謝金吾を招き、彼に対して自分が天波府を通りかかった時に、楊家から嫌がらせを受けたという話をして、謝金吾が楊家に対して面倒を引き起こすよう誘導しました。謝金吾は王欽に取り入ろうとして言いました。「まあ待っていてください。私が天波府を取り潰すのをご覧に入れてみせますよ!」

この日、謝金吾は大勢の人や馬を引き連れて、わざと銅鑼や太鼓を打ち鳴らさせて天波府の前を通過します。佘太君はそれを知ると顔色を変えて怒り、龍頭の杖をついて真宗に謁見しました。佘太君は厳粛な面持ちで言いました。「かつて先帝は、位の上下を問わず官吏が天波府を通過する際には、馬から下りて控えるよう遺言されました。しかし先頃謝金吾がわざと馬に乗ったままで銅鑼や太鼓を打ち鳴らして通過しました。これは明らかに国法を軽んじ、私めを侮っているのでございます!」

真宗はこれを聞き、謝金吾を宮殿に呼び寄せて叱責しましたが、思いがけず謝金吾が言いますには、「私がどうして国法を軽んじたり致しましょうか。ただ、目下の所天下の人々は楊家将のことは知っていても、陛下がおわすことを知りません。私はこれが実にけしからんと思っております。陛下におかれましてはどうか天波府をお取り潰しになり、君主の尊厳を正されますよう。」

真宗はこれを聞くと黙り込んでしまい、王欽がここぞとばかりに煽り立てます。真宗は彼らの讒言を信じ込んでしまい、謝金吾を責任者に任じて、天波楼を取り壊すよう命じました。八賢王はこのことを聞くと、大変なことになったと思い、九妹に夜を徹して佳山寨に赴かせ、密かに楊六郎を汴梁へと呼び戻させることにします。

六郎はこのことを聞くと、不安と憤りが入り混じってどう仕様もなくなり、軍務を岳勝と孟良に代行させることにして、自らは九妹と密かに夜を徹して佳山寨を離れて汴梁へと向かいます。

夜半、六郎と九妹が烏鴉林という所にさしかかると、突然林の中から笑い声が聞こえたかと思うと、黒い影が飛び出して来ました。六郎がびっくり仰天して見てみたところ、それは焦賛でした。腹を立てて言いますには、「お前は勝手に持ち場を離れ、ここに何をしに来たのだ?」焦賛がわめいて言いますには、「あなたの方こそ勝手に山寨を離れたというのに、人のことは言えますまい。汴梁が大変いい所だという話ですので、一緒に見て回りたいと思ったまでです。」

コメント (5)
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