第12章 孟良盗馬(前編)
真宗は楊六郎兄妹が遼将に大勝したことを知ると、大いに喜び、楊六郎を高州節度使に任じようとしましたが、楊六郎は却って官位の低い佳山寨巡検の職への任官を要望しました。真宗は六郎の忠誠心に感動し、彼の要望に応じます。
出発する直前に、六郎はまず「花刀の岳勝」を帰順させました。佳山寨に到着すると、今度は勇猛な孟良を帰順させます。ほどなく、孟良はまた親友の焦賛を佳山寨に招きました。六郎は続けざまに三人の猛将を得て大変に喜び、ただちに朝廷に報告させました。真宗は命令を下して彼らにそれぞれ官職を授けます。六郎はまた陳林と柴幹を招き寄せ、これにより佳山寨は勇将が勢揃いして兵士も馬も強壮となり、遼兵とて軽々しく攻め込んで来られません。
間もなく仲秋の名月の時期が到来し、六郎は山寨で部将たちとともに酒を酌み交わして月を眺めることにしました。その席で、六郎は突然大きくため息をついて言いました。「私の父親の遺骨はまだ李陵碑の下に埋まったままだ。遺骨を取り戻して埋葬し直したいとずっと思っているのだが、この願いが果たされるのはいつのことになるのか!」言い終わると涙が顔中にあふれ、席を離れて立ち去ってしまいました。
孟良は六郎の話を聞くと、こっそり柴を刈る木こりに変装し、夜を徹して李陵碑まで赴きましたが、楊令公の遺骨がどうしても見つかりません。孟良が尋ね回ったところ、楊令公の遺骨は既に蕭太后によって幽州の紅羊洞に改葬されていることがわかりました。そこで、孟良は今度は遼の人に変装し、一路幽州へと向かいます。
数日後、孟良は幽州の街で紅羊洞を探し当てました。孟良は日が暮れてから洞の中に入って盛り土を掘り返すと、その下から石の箱が出て来ました。孟良はこれこそが楊令公の遺骨であるに違いないと見当を付け、風呂敷でしっかり包んで街へと持ち帰ります。
孟良は路上で良馬が牽かれているのを目にしました。その馬は目が青くて毛並みが良く、足は六尺もの高さがあり、大勢の兵士によって護送されています。孟良はこの馬をとても気に入り、盗み出してやろうと思いました。彼は密かに聞き込みをして、その馬は驌驦馬と言い、西涼国が蕭太后の誕生日の贈り物として献上したものであることがわかりました。蕭太后はこの馬をしっかり世話するように命じ、禁軍に日夜護衛させていたのでした。
この日の夜、孟良は厩舎に潜入し、飼い葉桶にこっそりしびれ薬を撒き散らして立ち去りました。次の日、驌驦馬が元気を無くして、何も飲み食いしなくなり、馬の世話係が慌てて蕭太后に報告します。蕭太后は馬の病気を治せる名医を募集するように命じ、治せたら厚く恩賞を与えることにしました。
真宗は楊六郎兄妹が遼将に大勝したことを知ると、大いに喜び、楊六郎を高州節度使に任じようとしましたが、楊六郎は却って官位の低い佳山寨巡検の職への任官を要望しました。真宗は六郎の忠誠心に感動し、彼の要望に応じます。
出発する直前に、六郎はまず「花刀の岳勝」を帰順させました。佳山寨に到着すると、今度は勇猛な孟良を帰順させます。ほどなく、孟良はまた親友の焦賛を佳山寨に招きました。六郎は続けざまに三人の猛将を得て大変に喜び、ただちに朝廷に報告させました。真宗は命令を下して彼らにそれぞれ官職を授けます。六郎はまた陳林と柴幹を招き寄せ、これにより佳山寨は勇将が勢揃いして兵士も馬も強壮となり、遼兵とて軽々しく攻め込んで来られません。
間もなく仲秋の名月の時期が到来し、六郎は山寨で部将たちとともに酒を酌み交わして月を眺めることにしました。その席で、六郎は突然大きくため息をついて言いました。「私の父親の遺骨はまだ李陵碑の下に埋まったままだ。遺骨を取り戻して埋葬し直したいとずっと思っているのだが、この願いが果たされるのはいつのことになるのか!」言い終わると涙が顔中にあふれ、席を離れて立ち去ってしまいました。
孟良は六郎の話を聞くと、こっそり柴を刈る木こりに変装し、夜を徹して李陵碑まで赴きましたが、楊令公の遺骨がどうしても見つかりません。孟良が尋ね回ったところ、楊令公の遺骨は既に蕭太后によって幽州の紅羊洞に改葬されていることがわかりました。そこで、孟良は今度は遼の人に変装し、一路幽州へと向かいます。
数日後、孟良は幽州の街で紅羊洞を探し当てました。孟良は日が暮れてから洞の中に入って盛り土を掘り返すと、その下から石の箱が出て来ました。孟良はこれこそが楊令公の遺骨であるに違いないと見当を付け、風呂敷でしっかり包んで街へと持ち帰ります。
孟良は路上で良馬が牽かれているのを目にしました。その馬は目が青くて毛並みが良く、足は六尺もの高さがあり、大勢の兵士によって護送されています。孟良はこの馬をとても気に入り、盗み出してやろうと思いました。彼は密かに聞き込みをして、その馬は驌驦馬と言い、西涼国が蕭太后の誕生日の贈り物として献上したものであることがわかりました。蕭太后はこの馬をしっかり世話するように命じ、禁軍に日夜護衛させていたのでした。
この日の夜、孟良は厩舎に潜入し、飼い葉桶にこっそりしびれ薬を撒き散らして立ち去りました。次の日、驌驦馬が元気を無くして、何も飲み食いしなくなり、馬の世話係が慌てて蕭太后に報告します。蕭太后は馬の病気を治せる名医を募集するように命じ、治せたら厚く恩賞を与えることにしました。