博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『包青天之九 鍘包勉』

2008年08月22日 | 中国古典小説ドラマ
毎回地方の有力者であろうが皇室関係者(!)であろうが関係なく悪人どもを処刑しまくっている包拯ですが、身内が関わっている場合は果たしてどういう反応を見せるのでしょうか?この疑問に答えたのがこの『鍘包勉』(全9話)です。

莱陽県では包拯の甥の包勉が県令を務めていますが、この包勉の師爺(顧問・相談役)の文若愚が花蝴蝶と呼ばれる悪人と組んで県内の妊婦を殺して胎盤を奪い取り、紫河車という漢方薬の原料として売買していたことが発覚。文若愚らはどうせ死罪になるなら道連れをということで、包勉を事件の黒幕として告発。また同じ頃に包勉がこれまた文若愚の入れ知恵で裁判の当事者から賄賂を受け取っていたことが明るみに出ます。

包勉はこの2つの事件の容疑者として開封府で取り調べられることになります。ところがこの包勉、賄賂の件は素直に認めたものの、胎盤強奪の件は頑として容疑を認めません。包拯も彼がこの件には関与していないと信じつつも、その証拠となる証言や物証が得られず……

この包勉の母親の李氏は包拯の母親がわりとなった人物で(包拯は両親が年を取ってから生まれた三男坊なのです。詳細は『三侠五義』の冒頭を参照のこと)、包拯は彼女に頭が上がりません。また前々回に取り上げた『鍘龐』の話で息子を処刑された龐太師は身内に対する包拯の動きに目を光らせています。

包拯は李氏からは「包勉はお前とは兄弟も同然だというのに死刑だなんて…… お前には肉親の情ってものが無いのかい!」と突き上げられ、龐太師からは「わしは息子を処刑された事を恨んでいるわけではない。ちゃんと筋を通してほしいだけだ。で、お主まさか包勉を処刑しないつもりかYo!」とツッコまれるわけであります(^^;) 

包勉を救う手立てが得られず苦悩する包拯に、ある意外な人物が助けの手を差し伸べることとなり…… 

包拯と同じ環境で育ったというわりには(外見的にも性格的にも)似ても似つかない木っ端役人となった包勉と、彼の成長ぶりに注目の一編です。

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