博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『北京なるほど文化読本』

2008年08月12日 | 中国学書籍
千田大介・山下一夫編『北京なるほど文化読本』(大修館書店、2008年7月)

編者の千田氏が中心となって毎年翻訳・刊行されている『チャイニーズ・カルチャー・レビュー』のまとめ本的な位置づけです。タイトルに「文化」とありますが、武侠ドラマや漫画、アニメ、Cポップ、ネットなどエンタメに関する話題が豊富に盛り込まれています。また香港・台湾のエンタメとのつながりをちゃんと押さえているのも特徴のひとつです。

以下、個人的に面白かったポイントを挙げていきます。

○『HERO』は国産映画としていろんな意味で画期となった作品
……国際的な評価の高い『グリーンデスティニー』は純粋な国産映画ではなく、『始皇帝暗殺』は興行的に失敗して評価も低い中で、この作品がマーケティング戦略の成功もあり、純粋な国産映画として初めてハリウッド映画を押さえて興行収入第1位を達成。以後の国産大作映画の魁となったとのこと。

○現代の京劇はスーパー歌舞伎以上に何でもあり
……どこの京劇院がということではなく、ジャンル全体の傾向として何でもありということみたいです。台湾の布袋戯といい、中華圏の伝統芸能は躊躇いなく新しい試みをしていますよね。

○日本では崔健を「誤読」
……日本では民主化運動の流れの中にあるものとしてもてはやされた崔健の楽曲です
が、それは日本側の一方的な「誤読」というか勘違いだったとのこと。

○規制だらけのテレビにそっぽを向く若年層
……規制によりテレビ放映の難しい日本のアニメや台湾ドラマについては、若年層が海賊版DVDやネット上の違法データから面白い番組を発掘して見ているような状態とのこと。昨年最も話題になった作品は国内未放映の台湾ドラマ『公主小妹』(『ろまんす五段活用』)らしいです(^^;)

○徐勇はかなりのやり手
……徐勇というのは1990年に写真集『胡同一〇一像』を出版し、胡同観光ブームに火をつけた人物。彼はその後観光事業を手掛け、大成功したとのこと。
コメント (5)
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