博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大敦煌』第8話

2008年01月20日 | 中国歴史ドラマ
旺栄との政略結婚を迫られながら、密かに方天佑との結婚を望む梅朶公主。しかし肝心の方天佑は敦煌と西夏との友好を重んじ、「自分には都に妻がいる」と嘘をついて(ドラマの中で方天佑の婚姻に関する描写は出て来ていませんが、おそらくはそうなんでしょう。)梅朶との結婚を拒みます。

ショックを受けた梅朶は愛犬の散歩がてら(砂漠の中をリードで犬を引き連れて歩く光景がかなりシュールでした……)西夏の陣営に赴き、旺栄に「方天佑に本当に妻がいるのか、開封に行って確かめてほしい。そうしたら結婚してあげる。」とけしかけます。たまたま主君の李元昊からも使者の役目を仰せつかったので、喜び勇んで開封に向かう旺栄。ロケ地は雄大なのに話の筋は至ってチマチマとしているという、このアンバランスさが何とも言えません(^^;)

梅朶は邪魔者の旺栄は追い払ったとばかりに、莫高窟の壁画模写に出掛ける方天佑のお供をしようとしますが…… このあたりの梅朶の態度を見てると、彼女との結婚に必死な旺栄に思わず同情してしまいます……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『中国思想史』

2008年01月20日 | 中国学書籍
溝口雄三・池田知久・小島毅『中国思想史』(東京大学出版会、2007年9月)

池田知久「秦漢帝国による天下統一」、小島毅「唐宋の変革」、溝口雄三「転換期としての明末清初期」、同「激動の清末民国初期」の4章構成ですが、特に第2章以降が今までの概説書とはかなり毛色の変わった構成・内容となっています。

池田氏担当の第1章では近年大量に発見されている戦国楚簡についてほとんど言及されていないのが意外でしたが、これらの資料はまだ中国思想史全体の中で位置づけるほどには読み解きが進んでいないということなんでしょうか。それでも近年の発見の成果をふまえて、戦国から前漢までの諸子についてはテクストがまだ編纂途上で構成が流動的であったとしているのは注目されます。

第2章以降では、宋の徽宗を儒・仏・道の三教を一元的にまとめ、国教的なものを構築しようとした皇帝として高く評価している点、黄宗羲の思想などをヨーロッパ的な市民革命の思想と比較するのではなく、あくまでも中国的な枠組みの中で理解しようとしている点、辛亥革命で地方の省が担った役割を高く評価し、更に革命が起こった1911年から中華人民共和国が成立する1949年までの38年間の動乱期を、中国が新しい政治体制を選ぶのに必要だった期間で、唐から宋に移り変わるのに五代十国の53年間を要したのと同じようなものだと評価している点などが注目されるところ。

特に中国思想を中国史の枠組みの中で理解しようとするのは本書全体の方針で、それが必ずしもうまく噛み合っていないんじゃないかと思われるところもありますが、試みとしては面白いと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする