昨夕のツイートが難しい。
@utadahikaru : 樹木にも性別(雄/雌/両性)があって、雌の木は実や種ができて落ちる等の理由から花粉だけ撒き散らす雄の木ばかり植える都市が増えたことが花粉症と喘息の悪化に繋がっているという記事を読んで衝撃を受けている…英語だけど一応貼っとくね。英米の研究にしか言及してないけど日本はどうなのか気になる
https://amp.theguardian.com/environment/2020/may/16/how-urban-planners-preference-for-male-trees-has-made-your-hay-fever-worse
posted at 2023/6/18 16:08
簡潔に要約してくれているので内容は伝わるかなと思われるが、引用された元記事の本来の含意は
「人間の恣意的な自然の改竄によって人間社会に被害が生じている」
といった所だろう。「不自然は身を滅ぼす」と。しかし、ヒカルさんはご覧のように『樹木にも性別(雄/雌/両性)があって』と書いている。これ自体は事実なので問題はないのだが(そのような樹木は雌雄異株と呼ばれている)、肝心のリンク先の記事で取り上げられている主な植物はヒマラヤスギなのだ。スギといってもマツ科の植物で、日本でみられるヒノキ科のスギ(クリプトメリア・ジャポニカ)とは異なる。
で、ヒマラヤスギは本来雌雄同株で、それを人工的な交配によって雄株を生み出してそちらばかり植林している、というのが元記事での力点なのである。このように書いている。
「Growers’ breeding of purely male diodar trees had created, said Ogren, “something that doesn’t even exist in nature”.」
「オグレン氏によると、栽培者らによる純粋な雄性のヒマラヤスギの木の品種改良により、「自然界には存在すらしないもの」が生み出されたという。」
勿論結果的には都市部に植林されるのが雄株、雄の木である事自体が花粉症や喘息に関しては問題なのでこの点を強調するのは些か情緒的な価値観によるものではあるが、ヒカルさんの書き方では、そこの情緒的な部分を意図的に削ぎ落としてるようにも捉えられる。
(このままだとヒマラヤスギが雌雄異株だと誤解されるのではと一瞬危惧したが、ヒカルさんは具体的な種名をツイートしていないし、元記事を読みに行った人はほぼもれなく
「Naturally, the deodar is monoecious, having both male and female cones growing on the same tree. 」
「当然のことながら、デオダール(ヒマラヤスギ)は雌雄同株であり、同じ木に雄と雌の両方の球果が生えています。」
の一文を目にするので誤解が拡散される可能性は非常に低いんだなと気がついた。計算され尽くしてるなという印象。)
この「問題の切り分け」をどう捉えるべきか頭を悩ませている。或いはシンプルに、文字数を抑える為にこう記述したのかもしれないし、もしかしたらもっとシンプルに勘違いをしただけかもしれない。だが、筆致の慎重さからして、「交配によって人工的不自然をつくること」と「雄株偏重による花粉症被害」の2つの問題を意図的に分けたようにも思える。
だとすれば読み取れるのは、逆理的だが「行き過ぎた交配への警鐘」となる。これについて否定的な感触をヒカルさんが常々持っているから敢えて今回はしっかり切り離してツイートしたのではないか、と。深読みのし過ぎと言われそうなのだが、うん、それはいつものことですよねー。自分より頭のいい人のする事なので、どこまで何考えてるのかってわからんのですよ、ハイ。
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