無意識日記
宇多田光 word:i_
 



(ニーズが極少なの分かってて敢えて前回の続きを書くの巻)

今回のツイートの特徴は、欧米での話を日本語でツイートしている点。前から日本でバズらせたくない話題は英語で綴っていたのだからこれは「日本語圏で話題になって欲しい」という意図がある。そして本文が140字ピッタリで、元記事リンクは一旦ツイートを開かないと目に入らない。これも考え抜いての事かなぁ。

実際、元記事を読まずにリプライする人が大半である。その是非を問いたいわけではなく、寧ろヒカルがそうなるように仕向けた感さえある。もし日本語民に積極的に広めたいならグーグル翻訳のスクショでも貼っておけばいいんだし。ということでヒカルさんがしてなかったから私がしておいたんだけどね。
https://twitter.com/i_k5/status/1670427902129868800


となると結局書いてある通り『日本はどうなのか気になる』というのに反応する、ツイートを開いてリンク先をチェックして情報を提供してくれる「まともな」人を炙り出したかったというのがひとつの本音かな。これも私がやってはみたけどこの記事はググるとすぐ出てきたのでヒカルさんも既知かもしれない…
https://twitter.com/i_k5/status/1670420785205481472

…と一旦思ったんだけど、そういえば先日内田暁さんが「Yahoo! Japanは英欧からアクセスできない」と呟いてたのを思い出し。
https://twitter.com/aki0721/status/1664624049966784512

確かに、日本の様々な記事にアクセスするにはまずYahoo!からというのが便利な訳で、ヒカルさん英国からだとうまく検索できてなかった可能性があったのねぇ。だからこう呼び掛けて日本列島在住の人からの情報提供を募ったのかもしれません。

何れにせよ、この話題に皆も関心を持って欲しい、というシンプルな意図がまずあったのは間違いない訳で、まぁあれだ、皆さんあんまり興味ないかもしれないけど、記事翻訳の冒頭部分程度は目を通しておいてもいいんじゃないかしらん。ひとまず、お好きにどうぞです。

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昨夕のツイートが難しい。

@utadahikaru : 樹木にも性別(雄/雌/両性)があって、雌の木は実や種ができて落ちる等の理由から花粉だけ撒き散らす雄の木ばかり植える都市が増えたことが花粉症と喘息の悪化に繋がっているという記事を読んで衝撃を受けている…英語だけど一応貼っとくね。英米の研究にしか言及してないけど日本はどうなのか気になる
https://amp.theguardian.com/environment/2020/may/16/how-urban-planners-preference-for-male-trees-has-made-your-hay-fever-worse
posted at 2023/6/18 16:08

簡潔に要約してくれているので内容は伝わるかなと思われるが、引用された元記事の本来の含意は

「人間の恣意的な自然の改竄によって人間社会に被害が生じている」

といった所だろう。「不自然は身を滅ぼす」と。しかし、ヒカルさんはご覧のように『樹木にも性別(雄/雌/両性)があって』と書いている。これ自体は事実なので問題はないのだが(そのような樹木は雌雄異株と呼ばれている)、肝心のリンク先の記事で取り上げられている主な植物はヒマラヤスギなのだ。スギといってもマツ科の植物で、日本でみられるヒノキ科のスギ(クリプトメリア・ジャポニカ)とは異なる。

で、ヒマラヤスギは本来雌雄同株で、それを人工的な交配によって雄株を生み出してそちらばかり植林している、というのが元記事での力点なのである。このように書いている。

「Growers’ breeding of purely male diodar trees had created, said Ogren, “something that doesn’t even exist in nature”.」
「オグレン氏によると、栽培者らによる純粋な雄性のヒマラヤスギの木の品種改良により、「自然界には存在すらしないもの」が生み出されたという。」

勿論結果的には都市部に植林されるのが雄株、雄の木である事自体が花粉症や喘息に関しては問題なのでこの点を強調するのは些か情緒的な価値観によるものではあるが、ヒカルさんの書き方では、そこの情緒的な部分を意図的に削ぎ落としてるようにも捉えられる。

(このままだとヒマラヤスギが雌雄異株だと誤解されるのではと一瞬危惧したが、ヒカルさんは具体的な種名をツイートしていないし、元記事を読みに行った人はほぼもれなく

「Naturally, the deodar is monoecious, having both male and female cones growing on the same tree. 」
「当然のことながら、デオダール(ヒマラヤスギ)は雌雄同株であり、同じ木に雄と雌の両方の球果が生えています。」

の一文を目にするので誤解が拡散される可能性は非常に低いんだなと気がついた。計算され尽くしてるなという印象。)


この「問題の切り分け」をどう捉えるべきか頭を悩ませている。或いはシンプルに、文字数を抑える為にこう記述したのかもしれないし、もしかしたらもっとシンプルに勘違いをしただけかもしれない。だが、筆致の慎重さからして、「交配によって人工的不自然をつくること」と「雄株偏重による花粉症被害」の2つの問題を意図的に分けたようにも思える。

だとすれば読み取れるのは、逆理的だが「行き過ぎた交配への警鐘」となる。これについて否定的な感触をヒカルさんが常々持っているから敢えて今回はしっかり切り離してツイートしたのではないか、と。深読みのし過ぎと言われそうなのだが、うん、それはいつものことですよねー。自分より頭のいい人のする事なので、どこまで何考えてるのかってわからんのですよ、ハイ。

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