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無意識日記
宇多田光 word:i_
 



ヒカルが先日パッション・フルーツの写真を掲載してたもんでついつい『Passion』と『Sanctuary』をハシゴして聴いちゃってたんだけど、そういえば『Sanctuary』の歌詞問題がまだ未解決なんだよねぇ。キングダムハーツ2英語版の主題歌として随分と有名な筈なのに、どこにも正式な歌詞が存在しないのよ!

一応、公式の印刷物としては2014年の『宇多田ヒカルのうた』のブックレットに掲載があるのだけど、どうもあれも聴き取りっぽくてヒカルの(UTADAの)筆によるものじゃなさそうなのよさ。

ほいで差し当たってApple とSpotifyで歌詞をチェックしてみたんだけど、あれまぁなんということでしょう! 『Sanctuary (Opening)』と『Sanctuary (Ending)』で微妙に歌詞が異なってる!? いや、(聴き取れない所があったとしてもそれも含めて)両者は同じ歌詞の筈なので、サブスクにある歌詞も誰かの聴き取りである可能性が高いな。


それなら、こっちはこっちで勝手に聴き取ってみるわね。ひとまず最初の一段落のみを取り上げてみる。私の聴き取りはこう↓

In you and I, there’s a new land
Angels in flight
A sanctuary, my sanctuary, yeah
Where fears and lies melt away
music will tide
What’s left of me, what’s left of me now

自分で訳すとこう。

君と僕の間に新しい大地が生まれる
空には天使
これが聖域と呼ばれるもの
これこそが私の聖域
恐怖と嘘が溶け去り行く海から
音楽が生まれ、湧き上がる
それが私に残されたもの
私が今、手にできたもの


ひとつひとつ見ていこうか。

まず最初の

In you and I, there’s a new land
Angels in flight

の箇所に関してはどの歌詞も同じなのでほぼ間違いない。恐らくnew landとはKingdom Hearts におけるKingdomのことなのだろうがゲームをしてない私はよくわからない。ヒカルの書く歌詞としては、「私にとっての誰かが居る事で、この世に生を受けることができた。」という意味になるかな。「母と子」が解釈としてはオーソドックスだが、自我が世界と切り離されること、自分は他者とは別の存在だと知ること、その瞬間に「外の世界」が広がること、それらをnew land、新しい世界と呼ぶのだろう。

そしてangels in flight はそのまま、空を飛ぶ天使のことだ。


次はほんのちょっとだけ注意したい箇所。

A sanctuary, My sanctuary yeah

ここ、ひとつめの冠詞が不定冠詞のaなんだと思うのよ。でふたつめがMy。つまり、

「誰にとってもこうやって聖域が生まれるけど、この私にも聖域が生まれました」

という意味なんだと思う。一般論のaと、個別論のmy、ってことね。君と僕の存在で大地が生まれ、空に天使が居ることでそこに聖域が生まれる。これは誰にも当てはまるよ、私にも当てはまったよということでしょう。


んで、次がいちばん問題の箇所。

Where fears and lies melt away
Music will tide
What’s left of me, what’s left of me now

前半はいいんだ、「恐怖と嘘が溶け去る所で」までは。次よね。Musicの次の単語の聴き取りで見解が割れる。サブスクでは

Music will tie what’s left of me



Music, no tide.
What’s left of me now ?

の2つに別れてるようだね。

前者を訳すなら

「私に残されたものを音楽が結び付ける」

になる。what’s以下は補語、名詞扱いになるわね。後者は、

「音楽は凪いでいる。私に今残されたものは何?」

とwhat’s以下が疑問文になる(最後にハテナマークがつく?)。それぞれかなり意味の違う文章だ。私はご覧の通り、

music will tide
What’s left of me, what’s left of me now

という風に聴き取り

音楽が生まれ、湧き上がる
それが私に残されたもの
私が今、手にできたもの

と訳した。そう聴き取りそう訳した理由がちゃんとあるので説明しよう。


まず、最初にnew landが生まれる。landは国とか土地とかディズニーランドとかのlandだけど、要は「地」、「陸」なんですよ。そして天使が居るのは「空」なんですよ。キングダムハーツなんですから、リクとソラが居るんですよ。だったら当然カイリも居ないといけない(彼女の髪型のモデルは当時のヒカルなのだし!)。即ち、陸海空が揃わないといけない。ならば、『Sanctuary』の歌詞には「海」を示す言葉が出てこないといけません。それが“tide”なんだと思うんだ。名詞だと“潮(しお)”という意味だわね。他に海を直接匂わせる単語が見当たらないんだもの、だったらここにあってしかるべきだよね?

で、そのtideは自動詞として用いると「起こる」「潮の流れに乗る」「波を切り抜ける」とかの意味になる。なのでここでの”music will tide”は「音楽が起こる」という意味に取れる。海の中から創発的に音楽が立ち上がってくるイメージだ。つまり、

「海の中に恐怖と嘘が溶け去っていくとそこには音楽が湧き上がってくる」

という、そんな段落になってるのではないかなと!推測するわけでありますワタクシは!聴き取りに自信がないので意味内容から推してみましたとさ!


総括すると

Where fears and lies melt away
Music will tide

っていう歌詞は

「恐怖と嘘を昇華して私の手に残るもの」=「音楽」

っていう解釈になるので、つまりヒカルにとってのSanctuary/聖域ってのは

「音楽が生まれてくる場所」

のことなのね。或いは

「私の中で音楽が生まれてくる様子の描写」

とも言えるかな?
それこそがUTADAの『Sanctuary』なのですよと。こういう結論になります。



補足になるけど、fears and lies/“恐怖と嘘”ってのは、angels in flight = 空の天使が象徴する「安らぎと真実」、その対義語なんだと思われる。

それを踏まえるとこの段落の総合的な歌詞のイメージは、

「君と僕の間に生まれた新しい大地に、空飛ぶ天使が光を浴びて落とす影が恐怖と嘘を生む。それらを(勇気をもって)溶かし去った海から私の音楽は湧き上がってくる。」

という風になるんじゃないかな? 後の「キングダムハーツ3」の主題歌になる『Face My Fears』/「私自身の恐怖と向き合え」に、そのまま繋がっていきそうじゃない?







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