無意識日記
宇多田光 word:i_
 



テッドによるリマスタリングといえばSingle Collection Vol.1を忘れてはいけない。早速First Loveの聴き比べを行ってみた。よう考えたら10年前はBlogやってなかったから、同盤のリマスタリング特集やっとらへんのやな。こん時のリマスタリングは曲ごとに効果のバラつきがあって…ってまぁそれはまたの機会におくとして、First Loveの話、話。

この曲のリマスタリングは効果がわかりやすい方だ。意図ははっきりしていて、オリジナルでは低音部が他の楽器と混ざり合って不鮮明になりがちだったヴォーカルを、クッキリハッキリと際立たせる事に成功している。一言でいえば、ヴォーカル・オリエンテッドなサウンドに生まれ変わっているのだ。これは、この時のリマスタリングの中でも成功の部類に入る。

それと、恐らくだが、テッド(とSterlimg Studioの皆さん)はこの時かなり気合いが入っていて、日本のマーケットに自分を売り込むチャンスだと思ったのだろうか(実際このアルバムは同年図抜けた売上で年間No.1になった)、「ほらほら、リマスタリングをするとこんなにサウンドが生まれ変わるんだよ」アピールが強すぎる位に強い。要するに「あざとい」までに自分の腕を見せつけてくれるのだ。実際、(曲によっては)ミキシングの終わった音源をこうまで違うサウンドに出来るのかと驚いたものだ。

その時の印象が強い為だろうか、今回のリマスタリングについても、それ位の変化を期待していたのだが、御覧の通り私にはリマスタリングしたかどうかすらわからない。とほほである。

比較対照対象として今回、非圧縮音源(WAV)とも聞き比べてみた。つまり、1stアルバム収録のFirst LoveのFMiT2014ver., iTunesPlus, WAV, それにSCv1収録のFirst LoveのiTunes Plus, WAVの計5種類のファイルを聞き比べてみたのだ。

ひとつ驚いたのは、iTunes Plus 256kbpsの音質のよさである。正直、単独で聞かされた場合、これが非圧縮音源だと言われても私はコロッと騙されるだろう。WAVと並べて聴いて初めて、あぁちょっと圧縮してるかなと感じるレベル。いやはや、エンコード技術の進化の賜物であろうか。私は音楽の買い物はiTunes Storeで十分らしい。安い耳。

それより更に驚いた事がある。5つのファイルのいろんなパートを何度も聞き比べ続けてみたのだが、この曲、何度聴いても感動的である。掛け値無しの国民的名曲・スタンダードナンバーな為普段意識していないのだが、こんなに何度聴いてもまた聴きたくなるメロディーと歌唱は貴重、いや奇跡であろう。一通り聞き比べてみたあとで、「じゃ、最後に最初から最後まで通して聴いてみようか」モードに入った自分に気が付いて笑ってしまった。このエントリーを書き終わった後にももう一度聴かせて貰おう。どんだけ好きなんだ自分。


それにしても。今週の最後にこれだけは言っておきたい。Mastering For iTunesというからには、iPodと付属のappleイヤフォンで聴いてもその効果がわからなきゃダメだろーに。私がこんなにあれやこれや音質にこだわって聞き比べなきゃいけないようじゃ、ダメじゃないかしらん。さて、ではSHMCDやハイレゾ音源はどうなるのか。またその話は来週ね。取り敢えずみんな、まずは明日昼の甘酔に向けて準備だ!

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昨日の補足。私と照實さんとのやりとりをコピペしておこう。昨年の10月3日のツイートである。

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u3music@u3music
そんなこと知って何になるの?秘密 teruzane RT @i_k5 @shogo5fuk @utadahikaru @hikki_staff マスターは何kHz何bitで録音されいるのでしょうか?
posted at 01:22:16


44.1KHz/16bitもしくは風前の灯火の48KHz/24bit。これでいいかな?teruzane RT @i_k5 @shogo5fuk @utadahikaru @hikki_staff マスターは何kHz何bitで録音されいるのでしょうか?
posted at 12:11:29

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こんな具合。昨日の引用はやや不正確だった。お詫びして訂正する。が、大勢に影響はないだろう。

ポイントは、今回発売されるハイレゾ音源が96kHz24bitである事と、一つ目のツイートと二つ目のツイートの間に半日の時間の開きがあるという点だ。同じ質問に対する答えで。後は推して知るべしだろう。

要は、昨日「別の話」として触れなかった「ソフトウェアレベルでの補完作業(アップコンバート)」の有無が大変重要になってきますよ、という話である。そもそも宇多田ヒカルの場合、マスター音源がCDと同等の音質である、と。これはマスターがデジタルであった場合で、マスターがアナログだった場合はこの限りではない(ビットレートなんてない)。ただ、1998年当時ならマスターがデジタルのみであっても何の不思議もない。あと、照實さんが何か勘違いをして、的外れな回答をくれた可能性もある。色々と拙速な即断は禁物だが、ハイレゾ音源の購入を考えている方の参考になれば幸いである。

にしても、もしハイレゾ音源を購入するとなると対応プレイヤーが必要なのだが、今んとこ廉価なのはSONYの位しかないのかな。私もリサーチ不足で、昨年12月には圧縮音源向けのアップコンバートソフトがアップデートされていたらしい。つまり、MP3などの圧縮音源を補完してハイレゾ"ちっく"(ここ重要)なサウンドを実現しようという試みだ。補完作業とは"主観的な"推定作業なので、今後どんどん改善され、音楽性毎に細かな分類が為されていくだろう。問題は、ハイレゾ向けにマスター音源からリマスタリングする際のソフトウェアというのが、そういった一般製品に対してどれ位レベルが高いかである。言ってしまえば、手持ちの音源をハイレゾ対応プレイヤーにぶち込んでアップコンバートしたサウンドと比較して、3月10に一曲400円で販売されるハイレゾ音源はどの程度音がよいのか、それが問題になってくるのだ。はてさて、何だかややこしくなってきたなぁ。FL15プロジェクト、盛り沢山過ぎて全然
ついていけてないや。って俺がそんな事言っててどうするんだっつーの。

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