”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

放射線 じゃがいもへの利用

2015-03-07 09:25:15 | 野菜

昨日、浜松市で開催された

「放射線の基礎とその利用 ~医療と放射線について学ぼう~」

という講演を拝聴させていただきました。

 

医療に関するお話に入る前に、

静岡大学大学院理学研究科 特任教授 奥野健二先生が

放射線の基礎について解説してくださいました。

  

その中で、一番興味を惹かれたのは、

農業分野にも放射線が利用されているということ。

特に、

「北海道の一部地域のみ、じゃがいもの発芽防止のため、

 放射線を照射することが認められている。」

というお話を聞いた時は、

そこがどの地域なのか?

なぜそうなったのか?

そのいきさつが知りたくてたまらなくなりました。

  

で、昨夜、調べまくった結果を書かせていただきます。

  

 

まず、北海道の一部地域というのは、

河東郡の士幌農業組合管内でした。

  

 

●じゃがいもの貯蔵と抱える問題点

 じゃがいもの収穫期は、本州で6月頃まで、

 秋になると一大産地である北海道で収穫が始まります。

 冬の間は、収穫できる地域はありませんので、

 秋に収穫した北海道産のじゃがいもを貯蔵したものが

 翌年の春まで出荷されます。

 

 その貯蔵方法は、5℃で冷蔵。

 その費用は大きく、さらに

  ・糖分が増加する

  ・出荷後に発芽してしまう

 などの問題を抱えていました。

  

  

●食品への放射線照射研究の始まり

 1967年、原子力委員会は食品照射に関する大規模な実験を開始。

 この時、研究対象となったのは、

 じゃがいも、玉ねぎ、米、小麦、ウインナーソーセージ、かまぼこ、みかんの7品目です。

  

 じゃがいもは、男爵、島原、農林1号が選ばれました。

 研究の結果、ガンマ線を70グレイ照射すると、

 収穫後8ヶ月、室温貯蔵で発芽を防止できることが明らかとなりました。

 

 さらに次のことも判明しています。

  ・食品としての機能(でんぷん、ビタミンの含有量など)も

   照射前と同じように保持されている。

  ・照射したじゃがいもが、放射能を帯びることはない。

  ・照射じゃがいもを長期間食べた場合の安全性は

   動物実験では検証されている。

 

 このような研究を経て、

 1972年、「じゃがいもの放射線照射が許可されました。

  

 

●なぜ、士幌町なの?

 士幌町でのじゃがいも栽培面積は、2150ha、収穫量は69700t。

 じゃがいもは町の基幹作物となっています。

 1973年、農水省が農産物放射線利用実験事業として

 「士幌アイソトープ照射センター」を建設。

 1974年より、じゃがいもの放射線照射が始まりました。

 

    【画像お借りしました じゃがいもの照射室】

  

  

この時以来、年間約10000tのじゃがいもに

放射線照射が行われています。

国内でのじゃがいもの生産量の約0.3%が

放射線照射されたじゃがいもということになります。

  

なお、放射線照射されたじゃがいもは

食品衛生法により、放射線を照射した旨を

包装の見やすい場所に記載することが義務付けられています。

  

そして、現在、じゃがいも以外に

食品衛生法により放射線照射が認められている食品はありません。

 

  

 

また、ひとつ学ばせていただきました。

 

 

今回の講演の主なテーマ、医療と放射線については、

患者に負担を減らす最先端の治療について

知ることができて、本当によかったです。

10数年前、

「治療法は、年単位ではなく、日単位で進歩しているのですよ。」

とお医者様に言われたことが納得できました。

  

講演を主催してくださった静岡エネルギー・環境懇談会

ありがとうございました。

 

コメント
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