2008年に、莢いんげんの講座をやったことがあります。
その時、つるなしとつるありの品種を揃えようと直売所を数か所回りました。
しかし、どの直売所でも言われたことは
「ここで売られているものは、すべてつるなしだよ。
今どき、手間のかかるつるありを作っている人なんていないよ。」
その時は、色々な人に電話をして、
たった一人だけ、つるありいんげんを作っているおばあさんを紹介してもらい、
分けていただいたという思い出があります。
【つるありいんげん ケンタッキーワンダー サカタのタネのHPより画像お借りしました】
その当時、つるありとつるなしの食味は、次のように評価されていました。
・つるあり・・・子実が目立ち、見た目はゴツゴツしているが、意外と軟らかい。
味が濃く、歯触りも良い。
・つるなし・・・くせがなく、甘みがあるが、いんげん好きの人にとっては物足りない。
その後、現在に至るまで、私がいただいてきたのは、ほとんどつるなし…
だったと思います。
【つるなしいんげん サクサク王子ネオ】
あれから品種改良も進んだ今、改めて、つるありとつるなしに味の差はあるのか、
とても気になっています。
農業や家庭菜園をなさっている方のブログを拝見していると、
つるなしとつるあり、両方を育てている方が結構いらっしゃいます。
しかし、栽培のご苦労については書かれていますが、
食味について書かれている方はあまりいらっしゃらなくて、
それでも、何人か食味に触れている方の記事を拝見すると、
・上記のような評価をされる方、
・まったく逆の評価をされる方
・つるありもつるなしも大した違いはないとおっしゃる方、
…とそれぞれ異なるのです。
もちろん、栽培されている環境も違いますし、
収穫のタイミングなどが評価に影響することは理解しております。
ここからは、疑問があると納得のいくまで調べたがる野菜オタクの書くことですから、
興味のない方はスルーしてくださいね。(^-^)
●莢いんげんの好みは、関東と関西で分かれる
・関東では長莢で味と歯切れが良く、
子実が目立つもの(表面がでこぼこしたもの)が好まれます。
・関西では、中莢で子実の目立ちが少ないスラっとした品種が好まれます。
同じ丸莢のいんげんでも、関東と関西では好みが違うことがわかります。
それなら、関東、関西向けに出荷されている品種にはどんなものがあるのか
調べてみました。
●莢いんげんの主な産地は?
・関東向け品種を栽培・・・千葉・福島
・関西向け品種を栽培・・・北海道・長野
・どちらにも対応できる平莢を栽培・・・鹿児島
ここでは、丸莢について食味を調べたいので、
平莢を栽培されている鹿児島については省略させていただきます。
●関東向け品種は何か?それは、つるあり?つるなし?
◆千葉
・グリーンタッキー(半つる性)
・鴨川グリーン(つるあり)
・サクサク王子(つるなし)
◆福島
・いちず(つるあり)
・鴨川グリーン(つるあり)
・キセラ(つるなし)
●関西向け品種は何か?それは、つるあり?つるなし?
◆北海道
・ピテナ(つるなし)
・BN128(不明)
・グリーンシャトウ(不明)
◆長野
・ベストクロップキセラ(つるなし)
・サマーキセラ(つるなし)
北海道の2品種は調べてもわかりませんでしたが、
こうやって比較してみると、つるあり品種は関東向けに多く、
つるなし品種は関西向けに多いことがわかります。
つるあり品種は暑さに強く、つるなし品種は寒さに強いという特徴がありますので、
それぞれの産地の気温に合っているということもあるかもしれませんし、
また台風被害を防ぐために、つるなしを選ぶということもあるかと思います。
その一方で、出荷先の好みに合わせた品種を選択しているということも
忘れてはいけない事実です。
そうなると、関東向けに多く栽培されているつるあり品種は
子実が目立って、味と歯切れが良い。
関西向けに多く栽培されているつるなし品種は、
子実が目立たず、スラッとして食べやすい。
ということになるのでしょうか?
以上、莢いんげんのつるなし品種とつるあり品種の食味について
出来る限り調べてみました。
ここまで、お付き合いくださった皆様、ありがとうございました。