ずっと愛用しているお醤油があります。
それは掛川市横須賀 栄醤油さんの
甘露醤油(再仕込み醤油)とうすくち醤油。
静岡は濃口醤油の文化なので、
スーパーにも淡口醬油自体あまり並んでいません。
しかし、うどんつゆ、お雑煮、お吸い物などは
どうしても淡口醤油で作りたいので、
栄醤油さんの「うすくち醤油」を使っていました。
栄醤油さんは、袋井市の隣の掛川市にありますが、
微妙に遠いところにあります。
しかし、袋井市内にもその商品を扱うお店は何軒かあるので、
私は袋井の農産物直売所で購入していました。
さて、うすくち醤油が残りわずかとなったので、
直売所に買いに行くと・・・。
うすくち醤油が置いてありません。
品揃えも悪くなっており、ボトルのサイズも(900ml→720ml)
ほっそりとしています。
甘露醤油は、卓上サイズしか置いてありません。
「何が起きたの!?」とショックを受けながらも、
もう一軒、ショッピングセンターに入っている酒屋さんに行ってみました。
返ってきた返事は・・・。
「うすくち?売れないから置いてないよ。
もうお醤油自体が売れないんだよね。
直接お店に注文すれば、配送してくれるから、頼んでみたら?」
で、ネットで注文し、昨日届いたのがこちらです。
まさか、お隣の街のお醤油をネットで買うことになるなんて…。
私は、酒屋のおじさんの一言がとても気になり、
スーパーのお醤油コーナーに行ってみました。
すると、1Lのペットボトルに入ったお醤油は少なく、
大半が200ml~450mlの卓上で使うようなもので占められていました。
もっと言えば、お醤油のコーナー以上に売り場面積を占めていたのは、
白だし、だし醤油、麺つゆなど醤油加工品のコーナーでした。
なるほど、わかった気がします。
白だし、だし醤油、麺つゆなどを調理に使えば、
わざわざお醤油を使わずに済みますものね。
実際にデータで見てみましょう。
■醤油の出荷量の推移
1973年辺りをピークに減少傾向にあります。
(醤油メーカーの数も、1955年の約6,000社から年々減少し、
2021年で1,066社となっています。)
■一人当たりの年間醤油消費量
まず、このグラフで注意していただきたいのは、
醤油メーカーは飲食店などの業務用としても出荷をしているので、
家庭での購入量よりも消費量が大きくなるということ。
それにしても、消費量、購入量ともに減少傾向にあり、
特に家庭で購入する割合が減少していることもよくわかります。
醤油の消費は家庭用から業務・加工用へシフトしている。
このことがよくわかるデータがあります。
■醤油の容器別出荷量比率の推移
資料:農林水産省、日本醤油協会、全国醤油工業協同組合連合会
タンクローリーというのは、醤油、みりん、飲料など液体の食品を運ぶ
タンクローリーのことです。
タンクローリー、ポリ容器ともにそれぞれ伸びていることがわかります。
これら醤油容器の大型化は、家庭用の醤油から
業務・加工用にシフトしていることを示しています。
(実際、スーパーでは1Lの容器に入ったものでさえ扱いが少ないのですが、
業務用のスーパーに行けば、大型の容器に入ったものがずらっと並んでいます。)
では、家庭では何が使われているのか、
こちらのデータを見ていただくと一目瞭然です。
■醤油および麺つゆ・たれ類の世帯当る支出金額の推移
資料:総務省統計局「家計調査報告」
これを見ると、醤油の年間支出額は減少傾向にあり、
つゆやたれ(白だし、だし醤油、ポン酢醤油などの醤油加工品)は増加。
1994年には逆転していることがわかります。
もちろん、醤油加工品に使われる醤油は、メーカー各社の醤油を使用しているので
私たち日本人が醤油を口にしなくなったわけではありません。
しかし、コスパとかタイパが重視される今、
食の簡便化は、これからも進んでいくのでしょうか?
おだしをとって、お醤油、みりん、お酒、お砂糖で味付けなんて、
遠い昔のことになってしまうのか?
お醤油をネットで購入しなければならなくなったことがきっかけで
食の現状を確認することができました。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
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