トシの読書日記

読書備忘録

ア・ラ・モードの味

2010-04-18 16:05:13 | あ行の作家
池波正太郎「江戸の味を食べたくなって」読了


池波正太郎エッセイシリーズ第二弾であります。このエッセイは、あちこちに書いたものをまとめたもののようです。

食べ物の素材に対する思い出、フランス旅行で見つけた江戸の面影を感じさせる居酒屋「B・O・F」への偏愛を綴った散文、池波氏が愛してやまない天ぷら屋と寿司屋の主人を招いての座談会、絶筆となった短編小説など、盛りだくさんの内容です。

いやぁいいですねぇ。堪能しました。この中で、第一部「味の歳時記」の二月のところに「小鍋だて」というものがあって、これがやたらうまそうなんですね。底の浅い小鍋に出汁を張り、浅蜊と白菜をざっと煮ては、小皿に取り、柚子をかけて食べる。ただこれだけのものなんですが、池波氏の文章の表現力でとんでもなくおいしいものに感じられるんですね。ただ、気をつけるのは、入れるものは二種類か三種類。あまりごたごた入れるのは野暮ってもののようです。今度、自分でやってみようと思います。

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