トシの読書日記

読書備忘録

言語に関する、ふざけた、かつ真摯な考察

2011-04-06 13:58:51 | か行の作家
レイモン・クノー著 生田耕作訳「地下鉄のザジ」読了



これも未読本から発掘してきました。クノーといえば、以前、Tさんのブログで「文体練習」というのを取り上げていて、面白そうだったので書店で探したんですが、なかなかなくて代わりに「あなたまかせのお話」を見つけて読んでみたんですが、もう、とんでもない前衛的な文学で、ぶっ飛んだ覚えがあります。


なので、本書もそんな類の小説なのではと、恐る恐る読み始めたのですが…。


いやー別の意味でぶっ飛びました。めちゃんこ面白いです、これ。もうほとんど漫画ですね。映画化もされたそうなんですが、もう、ひとつひとつのシーンが映像として目にうかびます。


しかしレイモン・クノー、おそるべしです。この作家のあくなき探究心に敬服つかまつります。


ストーリーはといえば、田舎の少女ザジが、叔父さんのところで二日間あずけられることになり、パリで過ごすわけですが、ザジの興味は生れて初めて地下鉄に乗ること。ところが地下鉄はストで動かない。退屈のあまり、町にさまよい出たザジに、おかしな連中が次々につきまとい、すったもんだを繰り返すという、抱腹絶倒の物語であります。


筋もさることながら、その中で繰り広げられるユーモアとウィット、そして皮肉たっぷりの会話が、それはもう面白いんですね。全編ほとんど会話です。


レイモン・クノーの「文体練習」、やっぱり探して読んでみようと思います。

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