辻原登「籠の鸚鵡(おうむ)」読了
本書は今年9月に新潮社より発刊されたものです。辻原登、待望の新刊です。新聞の書評で見つけ、即アマゾンで購入しました。
がしかし、これはどうなんですかね。ちょっと自分の趣味に合わなかったかな。この作家は非常に器用な人で、歴史物からミステリー、人情話と、多彩な作品を送り出してくるんですが、本書はクライムノベルと言っていいジャンルに入ってくると思います。
はっきり言ってこういうのはあまり好まないですね。文章はうまいです。辻原登ですから。でも、こういう小説は桐野夏生あたりにまかしといたらいいんじゃね?と思うのは私だけでしょうか。
和歌山県の、とある町役場の出納長が偶然立ち寄ったスナック。その名刺を見たママのヒモが、こいつは金づるになると、出納長を陥れて役場の金を横領させる。これにヤクザの抗争がからんで…という内容なんですが、なんだかなぁ。喜び勇んで買っただけに落胆は小さくなかったですね。
単行本で316頁もある長編なのに、なんだかもったいない感じです。そのエネルギーをほかに回してほしいもんです。
残念でした。
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