トシの読書日記

読書備忘録

「ひとり」で向き合う家族

2008-04-12 21:40:12 | か行の作家
角田光代「真昼の花」読了

初出が1995年12月「新潮」というから、かなり初期の作品なんですね。
「八日目の蝉」とは、かなり趣きを異にしてます。

表題作の「真昼の花」は、主人公の女性が東南アジアの国(タイか?)をいわゆるバックパッカーみたいに放浪し、そこで自分の内面と向き合うという体裁をとってます。「対岸の彼女」の女社長の過去の話で、同じような箇所があったので、これは多分作者自身の経験であると思われます。
この小説は、はっきり言って心に響くものはありませんでした。

併載されている「地上八階の海」、これはなかなかおもしろかった。
主人公を取り巻く家族(母、兄)のそっけなさが物語の強いスパイスとして効いてる感じでした。自分の気持ちと相手のそれとが微妙にずれていて、そこに苛立ちを覚える主人公。なんだか井上荒野の雰囲気を感じてしまいました。影響を受けてたのかな?なわけないか(笑)

角田光代、もう少し付き合ってみようと思います。

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