トシの読書日記

読書備忘録

虚実のタペストリー

2007-09-21 16:23:55 | あ行の作家
魚住陽子「公園」読了

1992年発行ということは、15年前か。読後、思ったのは、もっと昔に書かれたような印象があって、奥付を見てちょっと驚いた次第。
これも、小川洋子おすすめの一冊ということで、読んでみたんですが、前半がたるいというか、もたもたした感じで、それを乗り切るのに少し苦労しました。後半に入ると、それまで張っていた伏線が収束していくのが気持ちよく、一気に読めました。もっと前半を丹念に読んでいれば、この小説のおもしろさをもっと味わえたのにと、少し残念です。いつかまた再読してみようかと思います。

公園に毎日のように一人の女が来る。それをさまざまな人がそれぞれの思いで見る。
少年野球チームのコーチ、公園の草刈のボランティアに参加する近くの団地の主婦、骨折して入院しているテニスサークルの大学生、母親を殺した(?)35才の女流小説家、マンションの20階に住む79才の一人暮らしの老婆。
共通しているのは愛に渇望してるとこです。
全体にシリアスな空気で、先に読んだ金井美恵子に共通するものがあります。

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