トシの読書日記

読書備忘録

とめどなく洩れ、流れる言葉

2012-04-25 16:43:00 | あ行の作家
伊藤比呂美「ラニーニャ」読了



ずっと以前から読みたいと思っていた小説で、ブックオフのネットで見つけて購入したのでした。読み終えてまず思ったのは、そんなに期待したほどでもなかったなという思い。


いや、面白いんです。文体も独特だし、主人公の「あたし」にぐいぐい引き込まれてしまうんですが、ちょっとくどいというか、最後の方は義理でつき合っている感じでした。


「ハウス・プラント」「ラニーニャ」の2編からなる作品なんですが、どちらも延々と続く「あたし」のモノローグであります。もちろん、「あたし」は筆者自身であると思われます。




アメリカのカリフォルニア南部での、夫であるアーロンと娘のあい子とグミの生活。アーロンは、股関節を患って車椅子の生活。あい子は過食症と拒食症を繰り返す。家の中には羽虫が飛び交い、庭にはユーカリの木が恐ろしいくらいの勢いで繁殖している…。


全体に不毛な空気が漂ってはいるんですが、「あたし」はそれにめげないというか、あっけらかんとしているんですね。そこは面白かったんですが、この「あたし」の延々と続く話を聞いていると、だんだんうんざりした気分になってくるのも否めません。


まぁ伊藤比呂美らしいといえばそうなんですがね。


そんな感じです。

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