ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

元気をもらった!米沢六郷スローフード研究会公演

2009-07-20 19:22:02 | 地域文化

 公演させてもらう、ってことは、高校生にとってとってもありがたいことなんだ。だってそうでしょ、たかだか高校生のお芝居を、わざわざ招いてくれて、集まってくれて、時間つぶしてくれるんだもの。さらに、笑いももらって拍手ももらって、終われば、よかったよ!って激励の言葉までもらえるんだから、これは日曜だろうが祝日だろうが、喜んで飛んで行くよ。

 今日の米沢市六郷コミュニティセンターでの公演は、それに大きな大きなプラスが付いてきた。笑いも拍手も激励ももちろんありだったけど、公演前には地区内を街宣車で宣伝して回ってくれたしね、客だしの時には、カンパの箱までおいてくれてお客様からお志を集める手はずまでしてくれた。こんな経験初めてだから、かなり感激した。カンパってなんか投げ銭みたいで、いいよねえ。見てよかったら気に入った度合いに応じて見物料を投げ込んでくれる。なんかいっぱしの大道芸人になった気分だ。

 でも、もっとよかったことは、公演後、昼食を準備してくださったことだ。もちろん、スローフード、自家用の野菜や米や果物を持ち寄って、伝統料理を心のこもった手作りで準備してくださったんだ。新鮮な作物は何よりおいしいし、テーブルに並んだ料理の数も並じゃない。ほんと、こんなもてなし受けていいんだろうか?って不安になるほどの歓待だった。で、この持てなしが何よりよかったのは、高校生がそれをしっかり味わう機会を持てたってことだと思う。それも、スローフードや食の大切さへの思いを会員のお母さん方から聞きながら一つ一つ味わった。こんな経験できる高校生って、どれほどいるだろう?

 食育ミュージカル公演をやってきて、皆さんはどう変わりましたか?って鋭いつっこみを受けたことも、とってもありがたいことだった。偉そうに、食べ物は薬だ、好き嫌いをなくそう、みんなで和気藹々で食事しようなんて、劇の登場人物としてはしゃべっていても、そういうおまえはどうなんじゃい?ってことなんだよ。僕自身も含めてね。僕としては、無理矢理教え込むなんて好きじゃないから、まっ、何度もせりふ言ってるうちに自然とその気になってくるでしょ、って待ちの姿勢で臨んでいる。だから、ときどきスローフードの会の皆さんのように、あんたらどう?ってつっこんでもらえるととてもいい。部員たち、しどろもどろながら、少しは変わったって返答していたね。

 あと、会のメンバーに置農出身の人たちが多くいたってことも、これはお互いに元気を与え合ったってところかな。会の人たちにとっては、後輩が元気に活躍してる姿に満足しただろうし、部員たちの方は、地域で地道にスローフードの普及に取り組む元気いっぱいの女性たちを見て、先輩、頑張ってんだぁぁ!って感激したことと思う。おっと、置農同窓会六郷支部からもお志をいただいたしね。

 と、言うことで、とっても充実した公演だった。六郷スローフードの会の皆様、コミュニティセンターの館長さん、同窓会六郷支部長さん、ありがとうございました。

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下手でいいんだ、ダンスは!

2009-07-18 22:09:22 | 教育

 ダンス、そりゃ上手いに超したことはないでしょ。って、タイトルと矛盾してない?そうね、矛盾してる。演劇部だから下手でいいっていう意味じゃないよ。置農演劇部なんか、大会作品でも、子どもミュージカルでも、頼まれたイベントでも、何かって言うとダンスだから、上手い方がいいに決まってる。だから、練習だってかなりの時間を割いてやっている。お世話になっているダンスの先生も複数いる。誰彼かまわず舞台に上げるわけじゃもちろんない。でもね、やっぱり、下手でいいんだ、ダンスは!

 昨日まで三日間、二年生はインターンシップだった。そう、会社や農家や役場でお世話になって、世の中の荒波をちょっぴり体験するって奴ね。当然、部活動もお休みだ。中堅の二年生がいないってえと、子どもミュージカルも演歌ショーも稽古にならないわけ。なので、この三日間は、一年生のダンス特訓ってことにしている、ここ数年。

 これまで踊りつがれてきた曲はかれこれ10曲近く。そう、毎年1曲はレパートリー増やしていってるからね。今年も『お祭りマンボ』が加わったし。で、このうち6曲をこの三日間で一年生にぎゅっぎゅっと詰め込んだ。ダンス初心者の一年生にとっては、もう緊張の三日間だと思う。なんせ三年生がマンツーマン、付きっきりで教えてくれるんだから。本当はもっとゆったり時間をかけて伝授していければいいんだけどね、なんせ公演、公演、また公演の置農演劇部、とても一年生のダンスレッスンだけに割ける時間なんてない。

 こんな短時間でダンスものになんのかよ?って疑問に思う人もいるかな?ところがね、これがまた凄いことで、こんな荒っぽい方法で結構覚えてしまうものなんだよ。まさに、高校生恐るべし!!だから下手でいいのか?

 違う、違う。こんな風に適当に手ほどき受けたって上手くなる奴は上手くなる。こっちがほほっと、見とれてしまうほどの奴だっている。それはそれ。今回は下手な奴の話しなんだ。置農に関して言えば、演劇部に来る奴てのは、運動でものにならない、おっと、ごめん、運動能力より思考能力に自信がある?いや、よりましな連中なわけなので、中には、もう見てられない!勘弁して!!ってほどにダンスが様にならない奴がいるんだ。で、そういう連中が、3年間、ともかくも踊り続けてくると、これがもう、いっぱしに一年生をリードするようになってくんだから驚く。いや、相変わらず下手だよ。でも、楽しんでるんだよ、踊ること。嬉々としてるんだよ、教えるの。

 でね、これがとっても大切なことだって思うわけ。下手な奴が下手を気にせず一緒に踊り狂って、楽しんでる、踊ることに上手いも下手もない、これがダンスの本来のあり方なんだと思う。一年の時、運動神経の無さにダンスっていうと尻込みして、列の後ろに隠れていたような奴が、もう得意満面で踊ってるんだ。いいよねえ、この光景。しみじみ、ダンスを取り入れてよかったなぁって思う。

 さて、この三日間、極度の緊張の中で無我夢中で6曲の振りを覚えてきた一年生。手は縮こまってるし、顔は下向いたままだし、体全身、自信なし、私ダメってオーラが溢れかえってる。でもね、君たち絶対上手くなるから、いや、上手くならなくたって、楽しくなるから。それがダンスってものだから。三年生だって君たちと同じだったんだから。コツはね、自分を捨てること!ってたしか三年生の一人が言ってたよね、そんな瞬間がいつかやってくる。それ楽しみに、追いまくられつつ踊り続けよう。

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わがまま言えないよ、出前公演

2009-07-16 22:53:07 | 地域文化

 ちょっとこの写真見てよ!

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 どうこの広間?こんな空間でお芝居やるって想像できる?だれだって、ムリ!って首横に振るよ。ほんと、大道具だってぎりぎり入ったくらいだもの。階段に乗ったら、頭つかえそう!

Rimg0160

 でもね、やるの!やんなきゃいけないの!だって引き受けたんだから。

 今回の長井市での公演は、会場は老人福祉センター大広間。なんと、間口が4間しかない!!ええーっ!両袖1間ずつとったら、舞台は2間?!ムリ!!絶対ムリ!!!だって、大道具の階段が幅1間あるんたぜ、残り1間、どうやって芝居するの?しかも、途中1間幅の門も出るっていうのに。

 でも、結果的にはやっちゃうわけ。贅沢言えないよ。わがまま言えないよ。それが芸人ってもんだ。出前公演なんてのは、旅役者、大道芸人と同じだから、与えられた環境で、許された条件でやりきるしかないんだ。だから、今回もやった。

 どうやったか、って?それは袖を急角度にしてしのいだんだ。その分舞台の奥行きが深くなってしまったし、袖の中も見きれるようになったけどね、それは仕方ない。どっかで目つぶらなくちゃ。

 で、やってみると、これが意外と良いんだよ!狭いってことは、観客との距離が近いってことだしね。天井が低いと声も通りやすいしね。体育館なんかのステージとはひと味違った濃密空間ができあがるんだ。これはこれで、なかなか捨てがたい。だから、お座敷公演だって嫌な顔しちゃいけないんだ。

 そう、どこでもやります、いつでもやります、って気持ちもってなかったら、出前公演なんて引き受けられるもんじゃない。そして、いろんな限定条件を押しつけられた時、よっしゃおもしろいって言い切る楽天性と、実際乗り切る才覚を持ち合わせること、これが大切なことなんだ。条件が厳しければ厳しいほど、やったるぜ!って燃え上がる情熱、もっともっとみんな持とうよね。

 

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演歌舞踊『夢芝居』

2009-07-14 21:25:50 | 演劇

 演歌ショー夢芝居、はじめたよぉぉ!昨日から。まずは、着付けの稽古と演歌『夢芝居』の踊りから。着付けは黒澤さん、踊りは高橋さんと、地域の方たちの好意に甘えて教えていただいている。今日なんか、男どもは着物の襟の縫い方なんかも、ぶきっちょな手つきでさせられた。

 女たちは『夢芝居』の踊りの稽古。予定では男たちの『柔』を教わる予定だったのだが、病欠者が出て急遽『夢芝居』に変更していただいた。それでもさすが高橋さん、思い出し思い出しながらも、最後まで振りを付けてくれた。

 いやぁぁぁ、いいよねぇ。日頃あぐらかいたり、でろんと大股広げてる女子部員が、しとやかにあでやかに踊る姿って、ほんときれいだと思う。その妖艶さにちょっとどきっとしたりして。まあこういう「日本的」女らしさってのは過去のものって見方もあるし、活発な今風も魅力的だと思うんだけど、これはこれでやはり女性の美しさの典型なんだと思うね。ジェンダー的立場からすると、虫ずが走るって言われそうだけど、このたおやかな女性美は年季が入っているだけ、なかなかのものだって感じる。まっ、年取ったからってことでもあるんだろうけどね。

 生徒たちには、これも一つの美、伝統に培われた女性の美、あるいは男性の美、普段慣れ親しんでいるアイドルやロッカーやスポーツ選手の美しさ、それ以外にもいろんな美がある、そんなたくさんの美を感じ取る感性を身につけるよい機会だって話している。時にはジーンズでたくましく、時には和服で楚々として、いろんな自分を演出できれば、人生は確実に豊かになると思うんだ。と、これは、僕の願いであるわけなんだけど、生徒たちも結構この異質な世界を楽しんでいるみたいだ。日常からかけ離れた世界とは言っても、どこかにこういう日本的美に憧れる部分があるんだろうね。これぞ伝統!おそるべし。

 ともかく、僕たち指導者がするべきことの一つは、多彩な美、多様な文化、多面的な人間像、そんな幅の広さを生徒たちに提示するってことなんだと思うよ。等身大の世界も大切だ。身の回りを見つめることも必要だ。でも、大人へと興味津々変身途上の高校生、もっともっと広い世界を垣間見せてやる必要があると思う。だから、僕は童話のような子供ミュージカルもやり、大人のしちめんどくさい芝居も見せ、アフリカンダンスに踊り狂わせているってことなんだ。って、ちょっと自慢ぽいね。

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『恨の行方』終演

2009-07-13 21:51:58 | 地域文化

 菜の花座公演『恨の行方』が終わった。まずは無事、でもないか?2回公演が終了したことを喜ぼう。置農演劇部だと1日2回公演なんて当たり前のことなので、今回の2回も僕としては、どうってこともないって思ってたんだが、役者たち、中でもお歳の人たちには結構きつかったみたいだ。やはり、体力が続かないってことなんだって。案の定、昼公演に比べ、夜公演はかなり見劣りのするものになってしまった。ケーブルテレビの中継が入っていたってことも大きかったかな。

 さて、公演の反省だ。大きな不安が二つあった。一つは内容面のこと。アジアの花嫁を扱うってそうとう微妙な部分がある。いくら取材を重ねたと言ったって、現実にこの地に入って暮らしてる女性たちの本音や主張をしっかりつかめているのかどうか?って問題。彼女たちがこの芝居をどう見るかとても不安だった。

 で、その答えなんだけど、どうやらお許しをいただけたようだ。酒田と鮭川からわさわざ見に来てくれた中国人花嫁のお二人がとても感動してくれていたからだ。昼の部の終演後、何度も何度も会いにみえて、「私たちの言いたいことを言ってくれた」「ぜひ、いろんなところで上演してほしい」って強い励ましの声を残してくれた。県知事にも台本を送って県の支援も受けたらどうかなんてことまで言ってくれた。自分たちの声を発する場所がない、自分たちの声を聞いてくれる人がいない、との思いは相当に強いものなんだと痛感した。そんな彼女たちの声を伝える、きっかけに成りうる作品と評価してもらったってことだ。とっても光栄だ。

 つぎの不安は、一人語りの連続、という奇抜な方法の面だ。ともかく、人と人との絡みがほとんどない。登場人物の動きもまったくない。装置は中央の高い柱と三カ所の長椅子だけ。しかも、舞台全体が明るく照らし出されることはまったくない。さらに、音もエピローグとプロローグに流れる波の音とサムルノリの音楽しかない。演劇の持ち味に敢えて知らんぷりした作りなんだもの、さあ、これがどう観客に評価されるか。

 これもどうやら無事パスしたみたいだ。みんな眠くなっちまうんじゃないかとか、途中でうんざりして出て行く客が出るんじゃないかとか、様々不吉な予想に責めさいなまれていたけれど、そんな不安はまったくの杞憂だった。観客におっそろしく集中を強いる構成、しかも2時間半という長時間、にもかかわらず、お客さんは好意的に舞台に、役者につきあってくれた。そして、多くの観客が、現実の重い問いかけを真っ向から引き受けてくれていたように思う。逆に、一人芝居という形が、ストレートに問題の核心に引きづり込む力になったのかもしれないとさえ感じている。

 不安に揺れながらようやくたどり着いたこの公演『恨の行方』、今はやり遂げて本当によかったと心から思っている。となると、人間欲が出るもので、できれば、もう一度、いえいえ、さらに何度でも、いろんなところで上演したいものだなんて妄想してしまう。どこかで呼んでくれないもんかねぇ。置農子どもミュージカルみたいにあっちでもこっちでも演じられると素晴らしいよね。

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