ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

気分もやもや!『シェアハウス ブルース』

2015-12-02 09:04:08 | シニア演劇

 シニア4期生、人生初の晴れ舞台、精一杯やりきった。仕事やりくりしたり、酒を断ったり、家族に負担かけたり、様々な厄介事抱えながらも、やり直しのきかない本番に向けて歩み通し、成功させた。だから、彼らが大きな達成感に浸りきって当然だ。大いに自慢して良いことだ。なんせ、たったの6人で1時間40分もの舞台を仕上げたのだから。そう、覚える台詞の量だって生半可じゃなかった。指導者としての僕は、そこまで導けたことに有る程度納得できている。

 しかし、作者としての僕、演出家としての僕は、手放しで大成功と喜べないんだなぁ。書いたものに自信があったからね。もっともっとお客さんの拍手がもらえると思っていた。シニアがよく頑張ったね、じゃなくて、いやぁぁ、面白かった!素晴らしい!って作品そのものに満足してくれるお客さんがもっともっといることを期待していた。

 たしかに、シニアに向けては、演じやすいように当て書きで書く。でも、それは手を抜くとか適当に書くってことじゃない。一本一本、作品としての納得の行くものを書こうと努力している。いつもいつもその努力が実を結ぶわけじゃないが、常に一定程度の質はクリアできていると自負している。中でもこの『シェアハウス ブルース』は良く書けた作品の一つだと思っている。だから、お客さんのぬるい反応が気になった。

 随分台詞をすっ飛ばしてくれた。ラストなどは、ストーリーが通じなくなって、よくわからなかったって批判ももらった。せっかくの台詞をうろ覚えで発してテンポやリズムを壊す場面もけっこうあった。仕込んだギャグや笑いの台詞も、前半はほとんど不発に終わった。それじゃダメだ!笑いは取れないと何度も繰り返し稽古したものの、やはり、本番は厳しい、実力をさらに一段押し上げるまでにはいたらなかった。役作りについても、演技はもちろん、日頃の自分、その身体から抜け出せず、高齢ヤクザ集団を生き生きと描き出すには不足の部分が多かった。

 そりゃ演出・指導の力不足でしょ、って言葉は受け入れないわけにゃいかない。でも、初舞台のシニアをそこまで引っ張り上げるってのは、土台無理な話なんだ。彼らにとっても酷な要求に違いない。だから、シニア演劇学校の舞台としては、あれで良い。

 ただ、ギャグの不発や、年寄りたちやにわか殺し屋の悲哀が、十分に伝わらなかったのが、台本の所為なのか、役者の力不足なのかをそこを確かめてみたいという気持ちが強くある。シニアたちには悪いが、上演を見ながら、別の役者で再演したらどうなるだろう?って何度も考えていた。

 脚本の未熟を役者の所為にしようとは思わない。詰まらぬ本なら、批判は受けよう。ただ、これならどうだ!って演技で作って仕上げてくれた舞台で問うてみたいだけだ。それは菜の花座についても同じことだ。

 

コメント
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