ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

ギャグのターゲットが違う!

2015-12-06 09:16:52 | コント

 ありゃ、このギャグ不発?えっ、こっちもダメ!おっ、ここは行けるんだ!公演は水物、やるたびごとに驚きの発見がある。

 今回は高畠町和田地区公民館主催の寿大学笑楽講座、10月の「まどか」での出前同様、コント2本と手品を出前した。そう、地元なんだよ、なんとしても面白くなくちゃいけない!挨拶で、冗談半分、立つ瀬ないから笑ってくださいよ、なんてお願いしちまった。もちろん、お情けの笑いが欲しいわけじゃない。天候は雪からみぞれ、出足悪いか?って心配してたら、意外に多く60人ほどが集まってくれた。

 上演したのはシニア+1の持ちネタ2本、「自殺案内人」と「「じじばばの同級会」。方法を巡ってためらう自殺志願者に極楽、地獄、天国からそれぞれの案内人が現れて、客引きさながらの自殺者争奪戦をおこなうというもの。

 もう一方は、60年ぶりの小学校の同級会、何故か早めに集まった3人の前に現れたのは、すでに死んだはずの担任の先生。音楽の時間、バナナボートを歌い踊る破天荒な先生との思い出が蘇り、気付いてみれば、それは先生の霊が仕組んだ3人だけとの偽同級会だったってもの。

 

 もちろん、どちらも10数分のストーリーの中に、ふんだんに笑いの種をつめこんである。どの笑い種が芽を吹くか、そこが上演のたびごと気になるところ。

 これまでは「じじばばの同級会」の圧勝で来ていたので、今回は直前稽古で「自殺案内人」をしっかりてこ入れした。役者たちも、今度こその思いがあって、爆笑とはいかなかったものの、随所で様々な笑いを誘っていた。一方、「じじばばの同級会」の方は、どうしたことか、笑いがおきない。これまで2回の上演では常に大爆笑を勝ち得ていたギャグや演技が滑りまくっている。出来としては、いつも通り、なのに、受けない。

 舞台と観客を当分に見回しながら考えた。どうやらギャグの狙いが今回の客層から外れていたようだ。農村地帯の70~80台のばあちゃんが中心の観客、バナナボートのデーオとは別世界の青春を送っていたに違いない。加山雄三も同様か。チャンチキおけさには湧いたし、ナオミのばあちゃんネタ、薬漬け人生も受けていた。じじいのおしっこもれる!も当然ね。はり倒されるなどの動きのギャグはすべて大受けの一方で、言葉の遊びは総じて不発。

 ギャグの当たりはずれをくっきりと突きつけられて、そうか、このコントは今回のようなお年寄りたちをターゲットには書かれていないんだってことに思い至った。いくらじじばばが出てきても、都会育ちの高齢者だったり、知的遊戯を楽しめる人たちだったり、そういう人たちに通じる内容になっているっていうことなんだ。う~ん、蟹は甲羅に似せて穴をほるってやつだよな。どうしたって、僕の面白感覚たよりに書いてたから。

 もし、今回のような高齢者対象の出前を続けていくなら、もっとこの地の年寄り向けの笑いを仕込んでいかなくちゃいけないっとことだ。これまで漠然とじじばばに受ける、なんて直感で作っていたけど、もっとターゲットを絞って書き作り上げていく必要があるということだ。こうやって舞台や作品の見直しを迫られる、ってこと、これが出前をはじめ、いろんな人たちの前で演じる良さってことなんだろう。役者も作者も演出も、場を踏むごとに学んで賢く?なっていくのだ。

 

コメント
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