泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

5月4日に呼びに来たのか

2024-05-05 20:44:16 | 丹下一の泡盛日記
土曜日は終日お仕事。
帰宅してちょっと家事なんかしていたのだけど、眠くて仕方がない。
こんな時は、寝る。
日曜日も朝イチから劇場入りしてお仕事。
昼過ぎにLINEの連絡で唐十郎さんが亡くなったことを知る。
もちろん、いつかこの日が、とはわかっていてもショックだ。
「巨星墜つ」という言葉が浮かぶ。
1978年に劇団に入って演劇活動の一歩を踏み出した頃、状況劇場の「シンパ」の人がいて、素敵な話をたくさん聞いた。
そして、1979年「犬狼都市」を新宿で観た。
自分が育った街だけど、西口の浄水場があんな更地になっているとは知らなんだ。
その「荒野」に建てられたテントの中にやりたい放題の人々がいて。
リヤカーでテントに突っ込んでくる幕開きと大音響と共にそのリヤカーが去っていく最終場面は今でも脳にこびりついている。
その後「特権的肉体論」を読み、「少女仮面」「少女都市」を読み。
小説「河童」なんかも読み。読み漁り。
そして、時間に隙間がある時は必ず出かけた。
花園神社は新宿の自宅から歩いて行ける距離だったし、
「時間に」であって「金に余裕がない時」でも出かけた。
観念的、とよく叱られた自分が、それでも世界にどっぷり浸かった上で、
客席で思いっきり笑って、時には涙をグッと抑えるような体験を求めて。
芝居が「詩」であることを強く意識するようになり、
民俗芸能で「水の神」を追いかけるようになったのは、この刷り込みがあるからに違いない。
20代の頃か。京都での公演に招いていただき会場前のテントの客席から布団に潜り込む唐さんを「目撃」したのも懐かしい体験だ。
唐組も梁山泊も大好きなんだけど、どこかで「ああ状況劇場が観たい」と感じてしまうのも事実なのだ。
日本の戦後演劇史の一つの時代が終わった。
そして、5月4日は寺山修司の命日。不思議だ。
呼びに来たのだろうか。

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