水曜日、葉衣企画「大つごもり」は無事終了。
昨年は初回の再演。今年は新作。
難産で、そして上演時間は60分。
事前に様々な声もあったのだけど「雨振って」になった。
60分がとても濃くて深い。
だらだら引き延ばすような時間にならないのが、さすが井村組。
Hamlets ver.2でもご一緒した花柳輔礼乃さんの振付、踊りが素敵。
そして特筆すべきは主役のお峯を演じた花柳うさぎさん。
過去2回の「闇桜」のお関もすてきだったけど今回は本当に素晴らしかった。
叔父夫婦のために金を盗む決意をする場面、舞台監督の自分は舞台の脇で観ていた。
ゲネも含めて毎回涙が流れた。
感情移入していたわけではない、と思っているのだけど、心のスイッチも押されていたのだろう。
長い人生、辛い体験がない人などいるわけがない。
彼女にどんな体験があったのか知る由もないが、それらが結晶したような演技で舞台で花ひらいた。
うさぎさんは本名で女優をしていた頃から知っている。
江戸馨さんのシェイクスピア芝居に出演しているのをジァン・ジァンで観たのはもう30年くらい前か。
その頃から素敵な女優さんだったけど、いつの間にか日舞を習っていた師匠、輔礼乃さんの弟子として活躍するようになっていた。
なので彼女が「女優」として舞台に出るのは珍しい。
最近ではこの「葉衣企画」だけではないか。
こんなすごい場面に立ち会う人がもっといてもいい。