1982年に解散した劇団の残党チームを離れて、自分で迦樓羅舎というチームを立ち上げた。
6ヶ月工事現場で汗をかいて働いたお金で、千賀ゆう子さんの語りの台本を岸田理生さんにお願いした。
素晴らしい本が生まれた。
理生さんが「あんたも出なさい」と言って自分の役も書いてくれたのが「黒衣」で。
1983年の10月に初演し、12月にはすぐに再演。
この時には山伏神楽で憧れていた東北での公演を夢見ていて。
アルバイト先の仙台出身の方に相談して、丹野久美子さんを紹介していただいた。
丹野さんは、12月の舞台を見るために東京まで来てくださった。
1984年5月、演出に笠井賢一さんをお願いして楽師に橘政愛さんが加わり、仙台公演、続けて名古屋、と自分が東京と離れる2000年まで、このプロジェクトは各地で上演を重ねていくことになる。
そして、今回その丹野久美子さんの主演で仙台と東京で上演されることに。
黒衣は1984年の仙台公演で照明を担当してくださった茅根利安さん。
楽師は、(もちろん)只野展也さん。
懐かしい赤布に包まれた台座に桜の木が立ち上がっていて。
あの仙台公演からちょうど40年なのだった。
黒衣の衣装をつけた茅根さんが舞台に上がってきた瞬間から、
応援する気持ちで一杯になる。
そして「黒衣」はもちろん「老婆」のセリフも頭の中にスラスラと再現されてくる。
なんだかんだで17年やっていたんだもの。
終了後は、飲み屋の直行し、献杯。
この日は岸田理生さんの20年目のご命日。
この素晴らしい台本が長く受けつがれていきますように。