夜が明けて、別世界から戻ってきたような気持ちで風呂に浸かる。
本当に大きな節目の季節が始まっている。
もちろん世間は、何の関係もなく暑い夏の日。
高円寺へ出向き、金子あいさんの「平家物語」に立ち会う。
お題は木曽義仲で、自分の発表会でも最期の部分はやっているし、原文はほぼ頭に入っている。
いい舞台だった。
ベースとチェロの音との絡みが深まっている。また新しい地平を開いていらっしゃる。素敵な舞台を見終えて、自分も久しぶりに平家をやりたくなる。
そして、下北沢へ。
火曜日(も)閉まっていたラーメン屋が開いていて、久しぶりに入る。
脂っこくもなく、肉で埋め尽くされてもいないラーメンが下北沢で食べられるのはここくらいか。
そして、コーヒーが飲める場所を探すのに苦労するようになったこの頃。
ニューヨークの地名がついたラウンジは音楽がうるさくて、これ彼の地だと成立しないんじゃないだろうか。
実は、この頃は昼と夜の「お出かけ」がある時は、その都度自宅に戻る癖がついている。
電車内なら資料の音源や映像もスマホでチェックできるし、座れたらうたた寝もできる。
自宅にいる時間が45分もあるならば、シャワーを浴びてリセットし食事を済ませて出かけられる。
自分で入れたコーヒーの方が美味しいし、ご飯も、残念ながら大抵は、そうなってしまった。今日も、一度戻ればよかった、と反省。
そして、満席の少年王者館の東京公演初日へ。
この「それいゆ」という作品は記憶に残っていて、井村昂さんから再再演の連絡を受けて即座にチケットをお願いしていたのだけど、まさか「こんなこと」になるとは思わなんだ。
1992年、井村さんからいただいた仕事の舞台で少年王者館の女優と知り合い東京公演があるというのでスズナリに出かけた。
衝撃的だった。この舞台の衝撃は、本当に今も忘れられない。
仙台の十月劇場、IQ.150に続いての衝撃で、「東京」って何、と考えざるを得なくなった。
以来、機会があるごとに舞台に立ち会ってきた。もちろん井村さんのおかげでもある。
この王者館の舞台に触れたので、今、自分は舞台で映像を使っている。
今夜のスズナリの初日、終了間近の場面で窓を閉めた井村昂さんの存在感は心に刻みつけられることだろう。
「カーテンコール」がなかったこの劇団が拍手に応えて二回もカーテンコールしてくれたのも、ちょっと切なく、嬉しかった。
今週は三日を下北沢で過ごしている。明日は現世に戻らねばならない。