泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

充実した一日

2023-08-30 12:29:49 | 丹下一の泡盛日記

火曜日は、月に一度の楽しみでもある演劇ワークショップの日。
もちろんお仕事だから目標は明確なんだけど、
かなり好きなことをやらせてもらえる場で。
大抵は今まで体験したことのないワークを提供することになる。
もっとも新劇の老舗から来た演出家が「人口密度を一定にして歩いて」と指示を出すのだそうだから、時代は変化している。
(その先のワークはやらなかったそうな。何故だろう)。
第4回目のこの日は「平家」の一人語りではなく、会話をテキストに選んだ。
結局、全てのペアを見ることになり、
予定時間を大きく超えてしまった。
きちんとクロージングできなかったためか、電車を乗り過ごしてしまう。
いかん、いかん。(サカナ、サカナ謎)

夕方からは国分理菜を招いて晩ごはん、後10月のパフォーマンスに向けたブレスト。
久しぶりにクロッキーノートを出してきて、言葉を書き、つなげていく。
先日できた「風の石の話」を彼女の前でやってみる。
好評だったので、このまま冒頭部分に決定。
21時には終了。
21時30分からはプレイバッカーズのミーティングをZOOMで。
1時間ほどで終了。
ようやく風呂に入り、流す。
それでもこういう一日は本当に充実。
風呂から上がり、ノートを見ながら万葉集など漁り始めたのは言うまでも無い。
楽しい時間。

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「ことば」と向き合う稽古場

2023-08-28 23:08:29 | 丹下一の泡盛日記
月曜日は懐かしい稽古場へ。
建物の外側は全く変わっていなかったのに、中に入ると別の空間になっていた。
10年前、この稽古場で故・大内三朗先生が「大きな声ではっきりと」という言い方で「ことば」にもう一度向かい合ってごらんと導いてくださっていた。
大内先生に演出していただいたシアターχのオニールの舞台を横浜ボートシアターの(こちらも)故・遠藤琢朗さんが見にきて、舞台に誘ってくださった。
以来、ボートシアターとのお付き合いは7年目。
そして、今日ここに戻ってきた。
その遠藤さんからも「さらばアメリカ!」の時に、言葉の一音一音の修正があり、より深く発語の世界を彷徨うことになるので。
もっとも遠藤さん曰く「これ始めたら、劇団員がどんどん辞めちゃってね」と。
まあわからなくもないが、自分としてはこの発語の問題は、今、一番必要な作業(の一つ)だと考えている。
演劇関係ではない人から、古い発語方法だと言われたこともあった。
念の為に書いておくと、
アングラ出身なので、様々な発語を体験してきている。
だから、こんな質問には「ATD」的な回答しかできない。
「演劇」空間を創りたいから、と。
稽古場での晩ごはんは、持参のお弁当。
この日は説教節のMさんが稽古をつけてくれた。
いやあ目からウロコな新鮮なご指摘ばかり。
舞台の上での「日本語」に向き合うときに、おお、と得心する事ばかり。
今年の2月に渡英した国分理菜に「英国の舞台ではそんな発語が基本だぞ」と伝えたのだけど。
ロンドンでいくつかの舞台に触れた彼女は、帰国後
「その通りでしたあ!」と報告してくれた。
加えて「そして、そこに人間がいるって感じでした」と。
自分の言語の「おと」の構造に向き合う作業は、舞台俳優にこそ求められている作業だと考えている。
8時間の稽古は無事終了。
明日は、その国分理菜と最初の打ち合わせ。
10月には二人でパフォーマンスをする予定。
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驚きの体験

2023-08-28 10:12:31 | 丹下一の泡盛日記
土曜日もお仕事へ。
前夜立ち会った舞台とその後の飲み会のおかげか
脳の回転が速くなっている。
久しぶりに立ち食いそばを食べたくなった。
食券売機の前におっちゃんが立ち尽くしていて、という風に自分には見える。
舞踏しているのかと思うような生理を超えたゆっくりな動きで券売機の画面のメニューをなでている。
その後、財布を取り出して小銭を弄って、10円玉から静かに投入。
まあ、時間に余裕があったから観察する余裕があったのだけど、
いつもだったら即座に店を出ただろう。
日曜日もお仕事。
朝から10時間ばかりピアノを聴いていた。
好きな曲がいくつも登場し、なんか役得。
最後にご挨拶に登場した指導の先生のスピーチが素晴らしかった。
自分もよく「えー」とか「あー」とか余計な「おと」を挟んでしまうのだけど、
この方のお話には一切それが出なかった。
もちろん事前に丸暗記、ではない。
その場で伝えたいことを的確に、心を込めて、真っ直ぐに伝わってきた。
現場での打ち合わせなどでも頭の回転の速さは伝わってきていたのだけど、
「えー」が一度も出なかったことには心底驚いた。
ごく数人しか記憶にない。
仕事の最後に驚きの体験が待っていた。
夜は遠くで雷。
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久しぶりの森下へ

2023-08-26 07:04:34 | 丹下一の泡盛日記
金曜日はお仕事へ。
この日はななちゃん(有安七生)の舞踏公演の初日だったので
「ちょっと行けそうにない」とLINE。
それが早めに終了後のばらしの勢いが素敵で。
20分遅刻したけど森下の、マンションの一室を(多分)自分たちで改造した空間に。
ウッドベースと電子ピアノの音をバックに彼女がソロで踊るのだった。
ななちゃんは、プレイバッカーズに参加する前は万有引力にいて、
彼女が出演した万有の舞台を観たことがあり
中国語を喋り続ける女、として記憶していた。
この日は、最後に若い女性が登場して素敵に歌ったのだけど
後にこの方とは面識があったことが判明。
世間は狭い。
終演後「森下ビール」という飲み物で乾杯。
連れて行ってもらったこの店は、25年くらい前に来たことがある懐かしい匂いに満ちている空間で。
森下は、以前はベニサンピットという空間があり、何度も来ていたので。
ついつい飲みすぎて、それでも早めに辞した。
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ボートシアターの稽古へ

2023-08-24 23:53:28 | 丹下一の泡盛日記
先日、整体で自律神経がやられているので修正します、と言われ。
その後、お腹が一杯です、と身体が訴えることに。
精神的な何かで過食になっていることは感じていたが、
身体が自覚し始めたのだ。
整体、すごいなあ。
それでもまだ重たい身体を引きずって稽古場へ。
この日も細かい部分を掘っていく。
こういう稽古はしんどいけど、楽しい。
ただウォームアップしているだけで汗だくになるのは困ったもんだ。
稽古中にTシャツを2回替えた。
連れ合いの車で帰宅。
窓を開け放しているのだけど、網戸越しに吹いてくる風はもう涼しい。
そして、毎度のことだけど夏が終わっていくのは寂しい。
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韓国の劇団の舞台が素敵で

2023-08-23 23:06:33 | 丹下一の泡盛日記
前夜は「バービー」のおかげで眠れない夜を過ごす。
あまりにも素敵な映画だった。
楽しくて、そして真っ直ぐに問いかけてくる。
ちょっとしたパロディもいくつか見つけることができたので、
もっとたくさん隠されているに違いない。
そんな舞台を創りたいなあ、と妄想しつつ、
目の前の佐野市と「小栗判官」に集中、なのだった。
そして来週には演劇ワークショップの第4回があるし。
先日知り合った女優のHRさんから「ご招待しますよ」と連絡をいただき
久しぶりに両国のシアターχへ。
もちろんたくさんの思い出が詰まっている空間。
以前は、この方向へ向かうのが帰り道だった。
韓国の劇団の公演を見る。
やっぱり役者のレベルが高い。
主演の女優の隣に男性が並んで、この人がそれほど背が高くないことに気がついて驚く。その存在感の大きさ。
役者の存在感で90分を見せた。
サスペンス的なストーリーは、さておいて。  
韓国では母親の存在感がやっぱり違うのだろうか、などと考えつつ。
久しぶりのシアターχ代表の上田さんにもご挨拶して辞す。
いい舞台に触れた後は、一杯やりたくなったのだけど。
腹は全然空いていない。
こんな時に入るのにぴったりな小さなバーが劇場から信号を渡ってすぐのところにあった。
ワインやビールをショットで飲めて、小皿料理も頼むことができた。
4〜5年前までは、ここで芝居の話を肴にワインの杯を重ねていた。
もう見当たらなかった。
電車に乗っても気持ちが収まらず、ついつい神楽坂に寄り道。
大好きなアラブ料理屋でファラフェルのピタサンド。
もちろんレモンミントジュースで。
そういえば初めてファラフェルやフムスを食べたのは
イスラエル大使館のイベントに出演した時で、
その後次官のご自宅のパーティーに招かれた時に、シアターχの上田さんに初めてお目にかかったのだった。
その時の記憶が、自分をアラブ料理屋に導いたのかもしれない。
テイクアウトしたフムスや茄子のサラダや追加のファラフェルと帰宅して、ビール。
やっぱりイスラム世界には住めないかもなあ。
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「バービー」に感動

2023-08-23 13:55:36 | 丹下一の泡盛日記
「バービー」を観た。
この頃、じいさん料金の末席(いやだいぶ踏み込んでいる)に加えてもらっているので、1100円で映画を見ることができるのが嬉しい。
2週続けて映画館で映画を見るなんて、何十年ぶりか。
素敵なエンターテイメントで、そして、ものすごく考えさせられる作品だった。
現実と夢の社会との相対関係は「Hamlets/ハムレッツ」や「ジュリエッツ」でも密かに考えながら台本を創っていて。
だからこそ、自分の浅はかな考えでは足元にも及ばないと理解。
現実世界から「学んだ」ケンによって男性優位社会に変えられたバービーランド→ケンダムで洗脳されたバービーの一人がビールを配りながら、
「何も考えなくていい。ただ楽しんでいればいいから楽!」みたいなセリフを言っていたが、
日本の政権側にいる人たちは、この国で暮らす人たちの90%以上に同じように考えて欲しいのだろうと思われ。
時間を潰すためのゲームやエンターテイメント、安いアルコールが蔓延するわけだ。
そして「バービー」で、とても素敵なエンターテイメントを成立させながら、ここまで深く考えさせてくれるこの映画を造った人たちはすごい。
原爆の写真とコラボさせた投稿で大炎上したが、実は、これはどこかからの足を引っ張るための攻撃だったのではないか、とさえ考えるようになった。
それほど、真摯に深い考察の上に成立している作品だと考えた。
ついでに「ATD」という新語を知った。この映画で作られた言葉かもしれないけど。
今度使ってみようっと。

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言葉が身体に与える影響

2023-08-22 23:32:54 | 丹下一の泡盛日記
月曜日は横浜ボートシアター「小栗判官照手姫」の稽古をTama+ projectの「いつもの」稽古場で。
参加できないメンバーが数名いて、例によって「濃い」稽古になる。
自分一人の場面も何度か繰り返させてもらった。
先日、大事な先輩からの助言を試したのだけど、想像して我が家でちょこっと試すのと稽古場でみんなの前でやるのでは大違い。
おかげで貴重な機会になったし、後半の出だしの役者の配置が変わり、それに対応する動きを研究する機会もいただいた。
何よりも「先輩」からの助言で試している冒頭の動きが実に興味深い。
この20年くらい「ことば」が現実的に身体に与える影響を学んできたが、
その学びの通りのことが起きる。
古典にはまだまだ探るべきポイントが眠っているに違いない。

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京蔵さんの「フェードル」、素晴らしかった

2023-08-21 11:53:51 | 丹下一の泡盛日記
中村京蔵さんの「滝の白糸」で国立劇場に立たせていただいたのは、2020年11月。もう3年近く前のことになる。
夏の終わりからこの道を下って稽古場に通っていた。
そして、日曜日はその当時からやりたいとおっしゃっていたラシーヌの「フェードル」の千穐楽。
国立劇場が建て替えになるので、大千穐楽といってもいい。
素晴らしい舞台だった。
ラシーヌの登場人物は、とにかく詩の朗読をしているようなもので、
韻を踏んだ言葉を語り続ける。
歌舞伎の館の装置がそれにふさわしく、最後の大仕掛けは歌舞伎なのに
状況劇場を思わずにはいられず。
もちろん最初の幕の切り落としは蜷川幸雄を思い出したのだけど。
とにかく女優も出ている舞台なのに、久しぶりに歌舞伎をみた、
歌舞伎の真髄に触れたような気持ちになった。
劇場で3年前の京蔵さんとの出会いをつくってくれた大学の同級生に再会。
実は連れ合いとも40年以上の旧知で。
三人で飲み屋に繰り出したのは言うまでもない。
帰宅してから連れ合いと二人で先日の坂本龍一の対談を見直す。
素晴らしい舞台に触れた余韻、それは全て舞台人としての自らに返ってくる。
脳がぐんぐんと動き出していく。


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懐かしい会話

2023-08-20 08:06:58 | 丹下一の泡盛日記
土曜日はお仕事の舞台へ。
最初にご一緒させていただいたのは10年くらい前か。
そしてこの古典の世界を勉強させていただいている10年。
最初は舞台人としてのレベルの高さ、その迫力に圧倒されて。
そして、今は小さな「おと」の深みが心に響く。
今回は元締めの出番が多くなって、自分にはとてもありがたい会だった。
無事終了。

帰宅して録画してあった坂本龍一の対談番組を見る。
30分のその会話の冒頭のジョークも含めて、なんだか火の子にいる気分になった。
非常にわかりやすく語り合っていて、了解ずみの言葉たちなんだけど。
長く深い考察によって導かれていったに違いない、その過程が見えてくるのが面白い。
そして、こういう本質的な会話を火の子のカウンターでいつも聞いていた。
時には「小僧」ながらも末席に加えていただいた。
本当に懐かしい。
こういう会話をもっと聞きたいなあ。

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