「障害のある人もない人も
共に暮らしやすい千葉県づくり条例」
1月30日は千葉県の健康福祉部障害福祉課 障害者計画推進室の横山室長さんから、「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」について説明を受けました。
この条例制定については、平成16年7月「第三次千葉県障害者計画」に検討が盛り込まれ、「障害者地域生活づくり宣言」の重点施策に位置付けられたのが発端とのこと。
その後、差別に当たると思われる事例を募集したところ約800件が寄せられ、平成17年は一年間をかけ、差別をなくすための研究会開催(20回)、タウンミーティングの開催(32箇所約3千人参加)等を行い、平成18年2月県議会に条例案を提案したが、趣旨・方向性については概ね賛同を得られたが、具体的内容については教育現場など関係者への周知が不十分であり、更なる意見聴取が必要として「継続審査」となった。
そして、6月議会では「条例案をいったん撤回」し、所管の委員会や各会派に「検討用試案」を示しながらパブリックコメントを行った結果、9月議会において全議員の賛成で可決されたとのこと。
この条例制定の経過には「この条例案がきっかけで県民に広がった障害者に対する取組の議論を絶やさないで欲しい、灯を消さないで欲しい。」という県民の願いがあったということでした。
この条例の特徴は、条例の骨組み(差別の定義と3つの仕組み)を、個別事案解決の仕組み、制度・慣習などを変える仕組み、頑張っている人を応援する仕組みを示し、誰もが暮らしやすい地域社会をつくるため県民の共通のルールを示していることです。
具体的には、「差別」の定義を福祉、労働、教育、サービス提供など8分野における障害を理由とした「不利益取扱い」を具体的に定義し、また、障害のある人が障害のない人と実質的に同等の日常生活や社会生活を営むために必要な合理的な配慮に基づく措置を行わないことを具体的に定義しています。
そして、こうした定義に基づき、一人一人の方が直面している問題について、各地域の健康福祉センターごとに16人の広域専門指導員を配置し、さらに身近な地域に620人の地域相談員を配置し、相談された問題について双方の事情を聞いて助言や調整を行い、それでも解決しなかった問題については、20名の委員で構成する「障害者の相談に関する調整委員会」が助言あっせんするシステムとなっています。
条例施行後(平成19年7月~11月末)の相談活動の状況では、5ヶ月で、福祉サービスや労働者の雇用、建物・交通機関、医療等々について既に219件の相談が寄せられており、関心の高さをうかがうことが出来ます。
但し、「調整委員会」にかかった課題は今のところ一件もなく、今後、増えて来るのではないかとのことでした。
今後は、差別をした者を罰する、取り締まるのではなく、理解者を増やす観点に立って、幅広い県民運動の展開や「あらゆる差別のない地域社会」の実現、「地域住民主体の高福祉社会」の実現に向けて取り組んで行くことにしているとのことでした。
長野県でも社会福祉審議会から同様の条例を制定するよう答申が行われましたが、当時の田中知事は、それを検討しようともしませんでした。
こうした状況に県議会では人権議連を設立し研修を重ねた結果、村井知事となり人権施策を推進するための検討に着手するための審議会の設置を申し入れ、昨年6月議会でそのための条例が提案され、現在は「人権政策審議会」において審議が行われています。
私は、今回千葉で学んだことを審議会と議会の検討が双方向で作用し、生かされる取り組みをしていく決意です。