8月27日の夜は、長野市において社民党自治体議員団会議が提唱し実行委員会を結成し開催した、「どうなる、どうする、今後の介護保険」政策フォーラムが、約80名の皆様に参加頂き開催されました。
主催者を代表して挨拶した私からは、今年6月に「地域医療・介護推進法」が成立し、介護保険制度は制度スタート以来の大幅な見直しが行われ、その中で特に現在の要支援の予防給付のうち訪問介護・通所介護が、市町村が行う「地域支援事業」に「自主事業」として移行するとされたことから、今後の市町村の取り組み方によって、サービスや質など取り組みに格差が生じるのではないかと不安が拡がっている。現在の「地域支援事業」は各市町村の介護給付費の3%の枠内で行われており、今回の見直しにより厚生労働省は今後引き上げを検討するとしているが、今後各自治体の取り組み姿勢が問われる以上、現状のサービスはどうなっているか、見直しによる今後の課題は何か実態を把握し、今から取り組む必要がある。今日は、その意味で現場で仕事をしている方々にコーディネーターやパネラーをお願いしており、今後の私たちの取り組みにつながるシンポジュウムとなるよう盛り上げて頂きたい趣旨を申し上げました。
シンポジュウムは、青柳県社会福祉会副会長のコーディネーターの元で、まず、隆旗長野市介護保険課補佐から「介護保険制度の改正について」説明を受けました。
この中で隆旗課長補佐は、市町村の「地域支援事業」への移行については29年度までとなっており、県内市町村では検討はこれからという状況ではないか。特別養護老人ホーム入所者のやむを得ない事情を除き要介護1・2の方を除外した見直しの影響については、市内では現在の入所者で試算すると10%程度が影響を受けるとしました。
次に、長野市社会事業協会地域包括支援センター吉田の遠藤主任ケアマネージャーから「在宅介護現場の現状と課題について」お話しを頂きました。
遠藤氏は、国が今回の法改正を含め求めている「地域包括ケアシステム」の構築などについて自らが担当する吉田地区の状況から、今回の見直しは、予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業に移行し既存のサービスに加えNPO・ボランティア等多様なサービスの提供が可能としているが、新しい制度体制に対する理解をどのようにしてもらうか。ボランティア等の多様な担い手と言っても、在宅支援の難しさは「他人を家に入れること」「他人の世話になること」「ごみ出しを近所の人にお願いすること」などへの抵抗感やプライバシーの問題がある。地域支援事業へ移行した場合、既存の既存の介護事業所のサービス提供も必要と思われるが報酬単価の設定によってはサービスの担い手が減る可能性がある。また、NPO・ボランティア等多様な担い手によるサービスの提供と言っても担い手の体制が出来る地域と出来ない地域、人口が少ない中山間地など長野市内でもサービスの格差が拡大することも考えられる等々の趣旨を述べました。
次に、長野市社会事業協会特別養護老人ホーム尚和寮の栄島ケアマネージャーから「福祉施設現場の現状と課題について」お話しを頂きました。
栄島市は、今回の見直しで特養入所者の負担を来年8月から所得により現在一割負担から2割負担となることについて、尚和寮では過去のデータから約1割の方が該当となる。また、利用料の自己負担額を所得に応じて一定の金額を超えた額が払い戻される高額介護サービス費の上限金額が44,400と上限額が設定されたが、その基準により利用料の一部は戻ってくるとした上で、見直しによる介護度5の入所者やショートステイ利用者の現在と改正後の負担金の違いを説明して頂きました。
また、現在は介護度1以上の方が入所対象となっているが、見直しにより介護度3以上となり、介護度1~2でも認知症、精神障害、知的障害、虐待、独居等で在宅生活が困難な場合など特例入所を認めているが、その判断は施設の判断に委ねられており、現在でも待機者が多く判断が難しい上に、さらに判断が難しく適切な入所につながるか心配である。
入所一時金や利用料が高額となることから、多くの高齢者が介護難民として行き場を失うと心配している等の趣旨を述べて頂きました。
他に、現在の介護保険制度のもとでの持続可能なサービスのための職員の処遇改善について現場からの共通した意見が意見がありました。
今回の政策フォーラムで出された意見を踏まえ、私は国の法改正により今後各県内自治体でのサービスの質が問われることから、社民党自治体議員団会議を通じ介護サービスが低下しないことや、今回、市町村が行うサービスに委ねられた「地域支援事業」に認められている「介護慰労金」の拡充について、真剣に取り組んで行く決意です。
皆様からのご意見をお聞かせ下さい。
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