たけちゃん活動・生活日誌

県議としての活動に追われてきましたが、引退後の生活の様子や、感じていることを発信しています・・・。

公共交通の危機

2008年01月14日 | Weblog

地域の生活交通であるバス路線を守るには

 

 

 昨年末突然報道されたアルピコグループの実質債務超過と、今年に入り時を同じくして発表された南信交通の一般路線バスの直営からの撤退方針には、私は驚きました。

 というのも、昨年2月まで県議会の公共交通等調査特別委員会の一員として、地域の生活交通であるバス路線をどの様に維持するのか検討する中で、何時かこうした事態が起こりえると考えていましたが、こんなに早く来るとは予想していなかったからです。

 

 こうした事態を考え、公共交通等特別委員会の報告書では、バス路線維持対策の充実」(14P~15P・37P~40P)として、「県は、『生活バス路線運行維持費補助』を平成17年度をもって廃止し、『廃止路線代替バス運行費等補助』についても平成18年度をもって廃止、平成17年度に創設した『コモンズ交通システム支援事業補助』により、地域交通の仕組みづくりに取り組む市町村を支援する」としたが、「これら2事業の廃止により、県におれけるバス路線を維持するための助成事業は、国との協調による『地方バス運行対策費補助』のみとなるが、当該補助事業は広域的かつ幹線的なバス路線の維持を目的とした制度であり、また、創設された『コモンズ交通システム支援事業補助』が、平成19年度までのサンセット事業とされていることはもとより、事業補助の目的が新たな交通システムの構築に要する初期費用の一部を助成するものであり、バス路線の運行維持に直接に寄与するものでないことからも、地域に密着したバス路線の廃止傾向に拍車がかかることが懸念されるところである。」と指摘し、「地域に密着したバス路線は、県民とりわけ高齢者や学生などにとって必要不可欠な公共交通機関であり、地域に密着したバス路線の維持・活用についての支援措置を早急に検討すべきである。」と求めています。

 

 

 そして、具体的には地域におれる「デマンド交通システム」等について、県として「開設時の初期投資や設備充実等に対して効果的な助成措置が講じられるよう、平成19年度までのサンセット予算事業として創設された『コモンズ交通システム支援事業補助』(現在の『生活交通システム構築支援事業補助』)の実施延長、廃止代替バス運行市町村とされている補助対象団体の要件の見直し、更には、安全性を確保する上での自治体責任や運行にあたっての入札制度の在り方を検討するなど、新たな交通体系構築に向けての支援措置の改善・拡充を図るべこと」を求めました。

 

 そして、この議会の意向や、私の昨年9月議会での質問を受け、県は昨年末発表した来年度予算編成に対する各部局の要求概要では、サンセット事業である「生活交通システム構築支援事業補助」については、向こう2年間継続する意向を示していますが、特別委員会が求めたその他の課題については、予算要求をしていません。

 

 確かに、国が過疎バス等を守るために補助金を出し、そこに県や市町村が上乗せして補助金を出しても、現実はマイカー通勤が増え「空気を運ぶ」状況が改善されない中、全国的には投資対効果の観点から補助金を廃止している傾向が見られます。

 

 しかし、地球温暖化防止対策や少子・高齢化対策が問われる中で、果たして、そうした選択と対応で良いのでしょうか。

 

 「限界集落」の問題や高齢化対策、環境問題が本県にとっても最大の課題となる中で、大切な地域の公共交通の在り方について、県は、ただ単に市町村の課題と逃れることなく、市町村や事業者と一緒に将来を検討すべきです。

 

 私は、そんな思いもあり再び昨年の9月議会において、公共交通対策特別委員会を設置することを求め、その委員会の一員となりましたが、アルピコグループや南信交通のみならず全県の事業者が抱えている現状や県民生活の将来を展望しながら、利用者や県と市町村、事業者が連携し、今後どの様な施策を行うことが出来るのかを徹底して探究する決意です。

 

 国土交通省では地球温暖化等への環境問題への対応や、地域の日常生活の移動を適切に確保するための地方バス路線や、地方鉄道に対するそれぞれの支援方策と一体的に連携して、地域の多様なニーズに応えるため、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を活用し、鉄道、コミュニティバス、乗合タクシー等の事業に創意工夫をもって取り組む法定協議会に対し、パッケージで一括支援する新たな支援制度「地域公共交通活性化・再生総合事業」(30億円)を創設し、平成20年度から取り組むとしています。

 

 この事業は、市町村や公共交通事業者、道路管理者、公安委員会、住民等により設置された「法定協議会」が定める「地域公共交通活性化・再生総合事業計画」による取り組みを国が補助金等で支援するものですが、県が主体となって早期にこの取り組みを各地に導入することが問われていると思います。